持続可能で、安心・安全な社会実現に向けた評価研究の推進

独立行政法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門

テーマ別研究

LIME (被害算定型環境影響評価手法)

 当研究センターでは、LCA国家プロジェクト(製品等ライフサイクル環境影響評価技術開発;新エネルギ・産業技術総合開発機構、1998年4月~2003年3月)と連携し、日本の環境条件を基礎とした第一版被害算定型環境影響評価手法(LIME: Life -cycle Impact assessment Method based on Endpoint modeling)を開発しました。
本手法は地球温暖化など11種の影響領域を通じて発生する被害量を人間健康などのエンドポイントごとに求め、これらを基礎として環境影響の統合化まで行う被害算定型のアプローチを採用しています。
LIMEの開発には、疫学、気象学、保全生物学、保険統計学などの自然科学的知見と環境経済学、社会学、心理学などの社会科学に基づく分析結果に基づいており、本研究は環境分野の総合研究として位置づけられます。
影響領域から直接統合化するという従来のアプローチを脱却し、かつ、LCIAの研究水準を飛躍的に向上したものとして国内外において高い評価を得ています。さらに、評価者の多様なLCA の目的に沿うため、1000を超える環境負荷物質を対象とした、「特性化」、「被害評価」、「統合化」の3ステップのLCIA用係数リストを開発し、これらを公開しました。特に統合化の結果は外部費用で表されるため、今後のLCAのみならず、環境効率や環境会計、環境経済統合勘定への活用が期待されています。

 

 

成果

  • LIME計算シート
    LIMEの係数リストでは1000を超える環境負荷物質を対象として、「特性化」、「被害評価」、「統合化」が可能な係数の一覧を提示しています。これらの係数による影響評価をより簡便に実施することができるよう、Excelベースの計算用ソフトウェアを開発しています。
    この計算ソフトでは、インベントリデータを入力するだけで特性化、被害評価、統合化の計算結果を自動的に出力し、結果をグラフ表示することができます。またExcelベースであることから、ユーザーが目的に応じてグラフの表示方法の変更や新たなグラフ表示を作成することができるなどの利点もあります。


     
  • 論文リスト
     
  • LIMEを利用した主な事例
     
  • 書籍案内
    「ライフサイクル環境影響評価手法 LIME:LCA, 環境会計, 環境効率のための評価手法・データベース」
    LIMEの手法論と利用方法についての解説本です。
    2005年9月15日発行, A4判500頁、CD-ROM付き、9,450円(税込)
    編著:伊坪徳宏、稲葉敦, 発行所:(社)産業環境管理協会, 発売所:丸善(株) 出版事業部
    *CD-ROMには係数リストが掲載されています。


    * LIME及び係数に関する内容が、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)発行「平成14年度新エネルギー・産業技術総合開発機構委託 製品等ライフサイクル環境影響評価技術開発 成果報告書 作成者:社団法人産業環境管理協会」より、ご参照できます。上記成果報告書はNEDOホームページよりダウンロードできます。
    NEDOホームページはこちら http://www.nedo.go.jp/
     

 

活動

  • 当研究センター主催ワークショップ
     
    開催日 ワークショップ名
    2003.06.16 第5回日本版被害算定型影響評価ワークショップ -環境影響の統合化と経済的評価-
    2003.02.14 第4回日本版被害算定型影響評価ワークショップ -社会資産への影響評価-
    2002.10.28 第3回日本版被害算定型影響評価ワークショップ -一次生産への影響評価-
    2002.07.24 第2回日本版被害算定型影響評価ワークショップ -生物多様性への影響評価-
    2002.03.15 第1回日本版被害算定型影響評価ワークショップ -人間の健康影響-

     
  • LCIA特別研究会

    2003年11月、日経BP環境経営フォーラムと共同でLIMEの実施方法を指導する「LCIA特別研究会」が設置されました。
    その成果研究報告会(2004年5月)の様子が、日経エコロジー7月号で紹介されています。