持続可能で、安心・安全な社会実現に向けた評価研究の推進

独立行政法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門
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吉田 喜久雄 (グループ長)

自己紹介

吉田喜久雄 kikuo-yoshida早いもので,産総研の前身の旧資源環境技術総合研究所に就職してから10年が経過しました。化学物質の環境動態や体内動態を推定するマルチメディアモデリングの研究を30年以上行っていますが,つくばに来てからは,主にモデリングをベースにしたヒト健康リスク評価の予測に軸足を置いています。ここ3年は,NEDOの「化学物質の最適管理をめざすリスクトレードオフ解析手法の開発」プロジェクトのプロジェクトリーダーとしての仕事が多くなっていますが,媒体間移行モデルや暴露モデルの開発も行っています。動態モデル開発を始めた頃は,「そういう研究は役に立たない」とか,「占いの先生」(当初は,運命予測モデルと呼ばれていた関係で)とか言われましたが,時代が後から追いついてきました。ひょんなことから始めたマルチメディアモデリングの研究ですが,これのお陰で,日本リスク研究学会賞等をいただいたり,リスク評価・管理の第一線で働かせてもらっているわけで,こうして振り返って見ると,自分の運命予測なんて,とてもとても。今後も,成果を社会に還元できることを目標に,地道に新たな課題に取り組んでいきたいと思います。

 

東野 晴行 (研究グループ付)

自己紹介

東野 晴行 Haruyuki-Higashino 大気環境解析が専門で、環境中濃度を推定するための数値シミュレーションモデルの開発や、環境中への排出量推計手法の開発などを、主な研究フィールドとしています。
実は、元々は機械工学科の出身で、学部生の頃は材料力学のシミュレーションで卒論を書きました。大学院では環境工学を専攻し、都市大気汚染、酸性雨、東アジア地域の越境大気汚染等の研究課題に、排出量推計と環境動態モデリングの両面から取り組みました。
産総研の前身である旧資環研に入所してからは、化学物質のリスク評価に関する研究、その中でも特に曝露評価の分野の研究を行っています。ADMERに代表されるような大気環境のモデリングが仕事の中心ですが、近年は大気環境だけでなく、室内環境や水環境のモデルの研究にもグループのメンバーと共に取り組んでおります。また、最近は、昔取った杵柄で、全球規模の環境動態モデルの開発にも取り組み始めました。
研究を通して得られた成果は、研究論文だけでなく、ADMERのようなソフトウェアやリスク評価書等の書籍として、これまで広く社会に還元してきました。これからも、ツールや評価書のような“目に見える製品”を生み出すという明確な目標を持って研究活動を行っていきたいと考えております。

  

 

 

梶原 秀夫 (研究員)

自己紹介

梶原 秀夫 hideo-kajihara  専攻は化学工学です。1997年から2000年には科学技術振興事業団のポスドク研究員として横浜国大において大気中ベンゼンのリスク評価を行いました。2000年からは,新潟大学で水田やその周辺環境に残留した農薬の不純物としてのダイオキシン類濃度の経年変化について研究を行いました。
 2005年からは産総研の化学物質リスク管理研究センターに移り,トリクロロエチレンの詳細リスク評価を担当しました。また,工場周辺用の大気モデルであるMETI-LISと大気モニタリングデータを使った発生源位置と排出量を逆解析で推定する手法の開発を行いました。
 2008年からは安全科学研究部門に所属し,工業用洗浄剤や溶剤、エアコン冷媒などの物質が他の物質に代替される場面で、その代替が最適な解なのかに注目したリスクトレードオフ研究に取り組んでいます。例えば、工業用洗浄剤ではヒト健康への安全性が高い物質に切り替えることで、かえって大気中分解物や水生生物への影響が問題にならないか、エアコン冷媒では温暖化影響の少ない(大気中で分解しやすい)エアコン冷媒に切り替えることで、分解物の健康・環境影響がかえって問題となることはないか、ということについて評価しています。
 化学物質のベネフィットを生かしながら、排出やリスクをコントロールするような解決案を提案したいと思っています。

 

堀口 文男 (研究員)

自己紹介

堀口 文男 fumio-horiguchi 工業技術院公害資源研究所に入所以来三十年以上にわたり、沿岸海洋(特に、閉鎖性内湾)の水質汚濁防止に関わる研究に従事してきました。これまでに、沿岸における観測機器の開発、観測手法の開発、海域での物質動態解明の研究を行ってきました。 さらに、3次元流動モデルや沿岸生態系モデル等の数値モデルの開発を行ってきました。
2001年から、工業技術院から(独)産業技術総合研究所に改編され、化学物質リスク管理研究センターに配属となりました。これまでの海洋のモデリング技術を活かし、海洋における化学物質のリスク評価研究を新たに始めました。
化学物質リスク管理研究センターの7年間の研究業務が終了し、2008年4月1日より、安全科学研究分門に配属となりました。センターでは『詳細リスク評価書シリーズ 8 トリブチルスズ』、『詳細リスク評価書シリーズ10 銅ピリチオン』を発刊しました。また、パソコンで簡単に運用できる沿岸生態リスク評価モデルプログラムを開発し、現在無償頒布を行っています。研究結果の一部をhttp://staff.aist.go.jp/crm-horiguchi/にてアニメーションにしてご紹介しています。
今後も沿岸海洋の環境保全・保護に関わる研究を進めて行きたいと考えております。 また、これらの研究が沿岸の自然破壊防止や環境行政等に役立てば幸いと存じます。

 

石川 百合子 (研究員)

自己紹介

石川 百合子 yuriko-ishikawa2001年に産総研に入所してから、河川流域を対象とした化学物質の濃度推定モデルの開発と化学物質のリスク評価書作成業務に携わってきました。河川モデルについては、全国109の1級水系を対象に、1kmグリッド単位の月ごとの河川水中の化学物質の濃度を計算できるようにしました。基本的には、化学物質の濃度は、排出量を河川の水量(流量)で割って求めています。下水道が整備されているところでは、排水が下水処理場に集められますので、そこで処理されきれずに残った物質が河川へ排出されることになります。河川モデルでは、下水道に関わる部分が濃度推定に大きな影響を与えますので、できるだけ実態に近い形でモデル化を行うことが望ましいのですが、簡単ではありません。しかし、モデル の改良を進めることによって、推定精度を高めることができました。今年度中には、全国1級109水系を対象としたモデルを公開できるように準備を進めています。化学物質のリスク評価書作成では、ノニルフェノールとクロロホルムという物質について、主に、発生源や排出量の調査、環境濃度の推定を行いました。研究を始めた頃は、自然環境に対する人間活動の寄与はどの程度なのかを知りたいなあと漠然と思っていたのですが、その道のりはかなり遠く、地道な研究を続けていくしかないと思っています。

 

井上 和也 (研究員)

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井上和也 Kazuya-Inoue大気中反応(2次生成)も考慮できるモデルの開発、および、それを用いた光化学オゾン等2次生成物質も考慮した化学物質リスクの評価(予測)を行っています。最近の研究課題としては、バイオ燃料導入に伴うヒト健康リスクの評価、地球温暖化に寄与しない新規冷媒として注目されているHFO-1234yfの使用による諸物質の濃度、沈着量への影響評価、工業用洗浄剤の代替に伴うヒト健康リスクの評価などがあげられます。いずれの研究でも、2次生成物質によるリスクが相対的に重要であることを示唆する結果が得られています。大気環境の研究は大学院生のときからずっと続けてきましたが、リスク評価に関わる現在の職場に来てからは自分が行う仕事により大きなやりがいを持てるようになりました。自分たちの開発したモデルを用いてリスク評価を行い、その結果に基づき、社会に対し、限りある資金を本当に必要な政策に割り当てるよう促すことで、間接的に人の命を救うことができるということを教わったためです。人の命を救うことができるのは何も医者に与えられた特権ではないのです。こんなに素晴らしい仕事なので、続けられるかぎり、本気になって自分をぶつけてみたいと思います。

 

篠崎 裕哉 (研究員)

自己紹介

篠崎裕哉 Hiroya-Shinozakiこれまで塩化ビニル樹脂の重合原料である「塩化ビニルモノマー」(ヒトへの健康影響としては肝がん(肝血管肉腫)がよく知られています)や光化学オキシダントの主成分である「オゾン」(ヒトへの健康影響として肺の炎症反応がよく知られていますが,最近では日死亡率の増加も指摘されています)の詳細リスク評価作成の一部を担当していました。学生時代は微生物を対象とした実験系にいましたので,全く異なる分野の化学物質のリスク評価研究でははじめてのことばかりで右往左往していました。現在は暴露評価,特に暴露量の推定方法に興味を持ち,室内の消費者製品等からの暴露量推定のためのツールとデータベースの開発,開発に必要な実験を行っていますが,いまでもやっぱり右往左往し ています。

 

大野 創介 (博士研究員)

自己紹介

大野 創介 sousuke-ohno私は、栃木県という海洋とは全く縁遠い環境で育ちました。しかし、将来は海洋環境について勉強したいと思い、東海大学海洋学部、同大学院へと進学しました。学生時代は数値モデル、特に3次元流動モデルや生態系モデルを用いた、閉鎖性水域(佐鳴湖、三河湾、東京湾等)の水質悪化のメカニズムを解明することを目的とし研究を行ってきました。
2010年3月に博士課程を修了し、4月から、産業技術総合研究所、安全科学研究部門の特別研究員として入所しました。これまでに培ってきたものを基に、リスクトレードオフ解析手法の開発として、海域モデルの開発に力を注いでいきます。

現在、海洋環境のみならず自然環境の回復を進める動きとして、水質環境基準を達成する考え方(きれいな海を目指した考え方)と、生物が多く生息できる環境に修復する考え方(豊かな海を目指した考え方)の2つの側面があります。環境改善策の導入から効果の検討をするために、海洋生物にとっても、人間にとっても、最も良い環境を守る、または築くにはどうしたらよいか?を、数値モデルというツールを用いて、社会に発信して行けたらと考えています。