蒲生 昌志 (グループ長)
自己紹介
化学物質リスク管理の意思決定に根拠を与えるためのリスク評価法について研究しています。
大学院で研究を始めた頃、シロアリ防除剤の代替のリスク評価をテーマに選びました。発がん性が懸念される有機塩素系の薬剤から神経毒性が懸念される有機リン系の薬剤への代替でした。今でも十分とは言えませんが、当時はこの両者のリスクをきちんと比較する方法が存在しませんでした。最初の素朴な疑問は、別々の考え方で評価されたのでは議論にならないのでは?というものでした。その後の研究で、個人差の考え方を導入したり、影響の重篤度を損失余命(LLE)という尺度で表現したりする工夫をして、両者を比較できる枠組みを作りました。これによって、様々な物質のリスクを相互に比較したり、リスク削減対策の費用対効果を議論したりすることが可能になりました。
また、最近の大きな関心は、工業ナノ材料のリスク評価です。ナノ材料のリスクそれ自体もさることながら、新しい技術開発や産業におけるリスク評価や管理の役割という視点が刺激的な研究テーマです。
リスク評価は、その結果を基礎にどのような施策をとるべきかを議論することもできますし、その評価を行うための前提や根拠を議論する土俵にもなります。リスク評価の可能性を拡大し、限界を突破するために少しでも貢献できればと考えています。
林 彬勒 (研究員)
自己紹介

環境分野の学問を深めるため来日して、今年でもうはや19年目になりました。最初の居住地である新宿区西早稲田から、節目ごとに、千葉県千葉市、葛飾区西新小岩、千葉県柏市に引っ越し、そして落ち着いたのは茨城県つくば市。2001年4月に産総研・化学物質リスク評価管理研究センターの第1期招聘型研究員(任期7年)として採用され、化学物質の便益と生態系影響(特に内分泌かく乱影響)を、「生態リスク」として捉えて評価する手法開発(個体群存続評価、内分泌かく乱評価)と2物質の詳細リスク評価(NPとAE)を担当してきました。2008年4月に、所属組織が安全科学研究部門に改編されましたことに伴い、研究の守備範囲は、化学物質以外のリスク評価、「バイオマス利活用リスク評価」に広めました(詳細は個人Webページをご覧ください)。しかしながら、バイオマスのリスクとは?その指標は?どうやってそのリスク評価を行うか等、研究を思案する最初の1年では、四苦八苦の日々を過ごしました。幸い、生物学部の出身でバイオマス関連知識は広く持ち合わせています。また、このリスク評価に不可欠な時空間的な土地利用解析やモデリング技術は、ポスドク時代に行った「地球規模窒素物質循環モデル開発研究」を通じて身に付けていました。今は、こうした知識と経験を活かして、耕作型バイオマス生産における窒素肥料の二面性に着目して、「バイオマス利活用リスク評価」を、「窒素の環境リスク評価」という切口から攻めて行く研究アプローチを取り、日々研究に励んでおります。これからは、常に産業界や社会のニーズを意識して、よりよい研究仕事に従事して参りたいと考えております。引き続き、ご支援・ご鞭撻くださいますようお願いいたします。
内藤 航 (研究員)
自己紹介
産業活動(主に化学物質の利用)と環境保全が調和した社会の実現に向けた規制等に係る意思決定を支えるあるいは動かす、環境リスクの評価や管理の手法開発と、それらの手法を実際に適用した評価研究を行っています。実験室で得られた毒性試験の結果をどのように実環境の評価で役立てるのか、リスク評価をどのようにリスク管理に結びつけるのかなどデータや分野の間の“橋渡し”をするような研究に興味を持っています。修士から博士課程にかけては、生態系モデルを利用した化学物質の生態リスク評価手法の開発と適用についての研究を行っていました。具体的には、諏訪湖の生態系における捕食-被食の関係を考慮した生態系モデルを構築し、さまざまな化学物質の生物種に対する直接および間 接影響をバイオマスの変化量として定量化しました。産総研に入所した最初の5、6年間は、4つの物質(フタル酸エステル、コプラナーPCB、鉛、亜鉛)の詳細リスク評価書の作成に大きく関わりました。特に亜鉛の詳細リスク評価書の策定では、執筆責任者として俯瞰的視点に立った研究を展開しました。現在は、データがないときのリスクの評価の方法や、重金属を事例にして現実的な生態リスクの評価や管理のあり方についての研究を主に行っています。
加茂 将史 (研究員)
自己紹介
化学物質を初めとした人為由来による生態系への負荷を適切に評価し、生態系管理や対策へと応用することが社会的に要望されつつあります。その際大切になるのは、影響をすべからく排除するのではなく、一定の負荷を認めつつヒトと生態系が調和的に共存できるような枠組みをつくることだと思います。ではどうやるんだと、というのは当然の疑問だと思います。完璧な答えはまだありません。そもそも「適切な評価って何?」というのが現状です。評価をサポートするツールは生態学や生態毒性学で発展しましたが、互いの連携は十分とは言えません。それらをつなげて、広く受け入れられる評価手法を開発するのが目標です。生態リスク評価手法の開発とはつまり、毒性学と生態学の隙間のニッチに適応放散することです。侵入のチャンスは皆さんにも開かれています。何しろニッチは広大ですから。
藤田 克英 (研究員)
自己紹介
生物を取り巻く環境は常に変化しています。われわれの身に当てはめれば思いつきますが、寒かったり、暑かったり、お腹が空いたりと、生まれてから死ぬまでつきまといます。こうした変化に対して生き物は体の中でどのように応答しているのだろうか?というのが、長年の研究テーマでした。これとは別に、環境問題、特に化学物質によるヒトや環境への影響に対しても関心あるテーマでした。こうした生体という「ミクロな世界」と環境という「マクロな世界」のテーマを何とかつなぐことはできないかと、長らく思っていましたが、幸運なことに、ここ安全科学研究部門で実現することができました。
竹下 潤一 (研究員)
自己紹介
私の研究のモットーは「数学と他分野との融合」です。修士課程までは、物理学及応用物理学専攻に所属していまして、物理学に現れる偏微分方程式を変分法的立場からの理論的研究を行っていました。博士後期課程では、数理学専攻に異動しまして、ゲーム理論の数理的側面の研究を行っていました。つまり、修士課程までは、数学と物理学との間を、博士後期課程では、数学と経済学・経営学との間の研究をしており、これまでの研究をまとめると、数学のための数学の研究ではなく、他分野のための数学の研究といえると思います。
この4月に産総研に入所し、安全科学研究部門・リスク評価戦略グループに所属しております。このグループ、部門には、いろいろなバックグラウンドを持つ研究員がいらっしゃいます。その中で私は、1日でも早く「リスク評価」等についての知識を習得し、同じグループ、部門の方々と協力し、数学を社会へ還元できることを目指したいと考えています。
最後に、産総研の理念「技術を社会へ」を捩りまして、「数学を産業界へ」という言葉を自分の座右の銘とし、研究に励んでいきたいと思います。















