恒見 清孝 (グループ長)
自己紹介
以前は鉄鋼会社に勤務し,また大学でライフサイクル評価(LCA)やリスクコミュニケーションの研究を行っていました.産総研では,ニッケルやアンチモンなどの金属や,可塑剤,難燃剤などのプラスチック添加剤を対象に,リスク評価や物質間のリスクトレードオフ評価を行っています.
私が対象にしている化学物質にはいくつかの共通点があります.まず,製造から廃棄までの物質のライフサイクルの期間が長いことで,物質循環を含めたマテリアルフロー解析に取り組んでいます.次に,情報制約のもとで排出量推定の必要があることで,物性や国内のリスク管理状況を勘案した排出シナリオ文書の作成に努力しています.さらに,マテリアルフローが国内に留まらず,海外での回収・再利用に伴うリスク増加が懸念されるおそれがあることで,そのリスクの定量化をめざしています.
今後は,欧州指令等による金属代替に伴うリスクトレードオフ評価を行い,物質代替の費用対効果の妥当性を検証します.その際に,上記の自らのバックグラウンドを生かしていくつもりです.また,将来の持続可能な産業社会の構築のためには,循環型への社会構造転換と有害化学物質管理がその両輪になるだろうと考えています.そこにはリスク評価とLCAの両方が必要な局面が想定され,両方の研究経験を有する研究者として,私はその融合的な研究を将来目標ととらえています.
小倉 勇 (研究員)
自己紹介
現在、新規材料である工業ナノ材料の安全性評価、特に排出・暴露評価に取り組んでいます。ナノ材料の粉体を取り扱う際に、ナノ材料がどの程度気中へ飛散し、作業者がどの程度それを吸い込む可能性があるのかを評価するために、実際にナノ材料を製造している作業現場に行って計測を行ったり、実験室で模擬的な排出実験を実施したりしています。あわせて、どのような計測を行ったらよいかも考えています。研究成果がナノ材料の適切な管理に役立ち、ナノ材料の開発と利用が適切に促進されることが願いです。
以前は、ダイオキシンやPCBのリスク評価に取り組んでいました。各発生源の寄与の推定、環境中濃度や環境中挙動の予測などを行っていました。
小野 恭子 (研究員)
自己紹介
産総研に入って11年目になりました.ここ数年は,重金属の利用と規制がヒト健康や環境にどのような影響を与えるかということに興味を持ち,それを定量的に示すモデルの開発に取り組んでいます.金属は資源でもあり,有害性を持つとしても適切に管理して使用するほうがよい,という意見もあります.リスク評価で培った経験を生かして,この問題に解を与えたいです.金属の動態を記述するモデルは世界的に見ても発展途上で,技術的にもおおいにやりがいがあります.リスク評価という評価研究を世に出すためには幅広い分野の知識が必要です.学生の時の専門分野は土木環境システムでしたが,それに加えて生物学,毒性学,統計学,分析化学,化学工学などの知見を拝借し,それらを論理的に駆使して,評価のストーリーをまとめあげます.あたかもジャーナリストになった気分です.
また,人と人とのつながりも欠かせません.最近の例では,大気中六価クロムについて,リスク評価に適した極低濃度レベルの測定法がないことから,分析のエキスパートと協力して自力で開発しています.多くの研究者の方々のお力をお借りして研究ができる毎日に感謝しています.
篠原 直秀 (研究員)
自己紹介
室内環境における化学物質の挙動や曝露評価に関する研究と工業ナノ粒子のリスク評価をしています。専門分野は、化学工学や分析化学です。室内環境の研究では、室内における様々な発生源からの化学物質の放散量や換気回数を測定する手法を開発し、様々な住宅において調査を行っております。開発したいくつかの測定器は、市販まで至っております。また、実験室において、チャンバー法を用いて、化学物質の各種建材への吸脱着特性に関する解析も行っています。今後は、室内で問題が取り上げられることの多いカビに関しても、研究を進めていきたいと考えています。また、工業ナノ粒子のリスク評価は、新しく開発された工業ナノ材料であるフラーレンC60を対象として、研究を進めております。フ ラーレンC60は新しい化学物質であり、有害性情報が十分ではないため、有害性や計測の専門家らと協力し合って、有害性試験を実施しています。私自身は、ラットや細胞に投与する試験液の調製やその分析を行っております。体内動態に関しても、詳細な解析を行っております。今後、体内での挙動や形態の解析を行うことで、他の金属ナノ粒子等との毒性比較を行っていきたいと考えています。
布施 正暁 (研究員)
自己紹介
重金属や稀少金属の資源リスクや環境負荷を減らすために必要となる対策の評価を行っています。特に,私たちの身の回りにある自動車や家電製品などに注目し,それらの製品に使われる金属のグローバルな採掘,生産,使用,廃棄,リサイクル,また以上のプロセスから生じる環境排出量を把握することで,効率的かつ環境に優しいリユース・リサイクルシステムの設計を試みています。過去の研究では,アジアを対象にした自動車リサイクルの評価方法の開発,国際的に取引される中古自動車・家電の資源回収可能性の評価を行ってきました。現在は,鉛に注目し,世界各国を対象にマテリアルフロー分析に基づく環境排出量を推定しています。この研究を軸にして,他の金属への展開を進めると共に,ラ イフサイクルアセスメントとリスクアセスメントの融合を目指しています。リユース・リサイクルシステムの個別研究も始めています。リユースシステムとして中古製品の国際貿易を取り上げて,資源性・有害性からの評価も試みています。リサイクルシステムでは,従来の廃棄物管理を都市鉱山開発という視点から捉えなおし,効率的な資源回収システムを提案する研究にも挑戦しています。















