夏季における計画停電の影響と空調(エアコン)節電対策の効果(速報)
2011年6月3日に第1報を公開しました。
2011年6月15日に更新しました。
2011年7月31日に第2報を公開しました。
(更新履歴)
はじめに
今夏に向けて、東京電力管内では15%の電力需要抑制が目標とされています1)。節電対策で重要となるのは、真夏の最大電力需要をいかに抑えるか、という視点です。夏の電力需要の増加の主因はエアコンの電力であり、空調需要を引き下げる対策を導入すれば、電力需要を抑えられるはずです。
我々は、計画停電が導入された場合の電力需要や室温への影響を評価するとともに、特にエアコンの電力消費を抑える節電対策2)をいくつか取り上げ、具体的に家庭と業務に由来する最大電力需要を何%削減できそうか、街区の気温と建物のエアコンの相互作用が評価できるプログラムを用いて、シミュレーションを実施しました。
検討した対策と最大電力需要に対する効果(産業を除く)の概要
検討した対策と家庭と業務の最大電力需要に対する効果の概要を示します。なお、対象となる対策をすべての建物で実施した場合の計算結果です。
数値は、対策が導入された場合の最大電力需要の、基準ケースの最大電力需要(14時半)に対する効果で、マイナスは削減、プラスは増加を意味します。対策によっては最大電力需要は別の時刻に発生するため、別の時刻間での比較となっています(各対策の項で詳述)。また、「管内全域(合計)」は、計算結果を東京電力管内全域(家庭と業務のみ、産業を除く)に適用できると仮定して推定した結果です(推定方法の項で詳述)。
表1 主な検討した対策と最大電力需要に対する効果の概要
| 空調節電対策 | 家庭 | 業務 |
管内 |
備考 | |
| 戸建 住宅 |
集合 住宅 |
||||
| (0) 計画停電 | +9% | +6% | -21% | -9% | 全建物の1/5を3時間ずつ輪番停電 |
| (1) 窓日射遮蔽 | -8% | -7% | -3% | -5% | 北面以外の窓の遮蔽率を70%に設定 |
| (2) 通風換気 | 0% | 0% | 0% | 0% | 気温が室温より低いときに窓を開ける |
| (3) 空調設定温度見直し | -10% | -6% | -2% | -5% | 住宅24.5℃/事務所26℃から28℃へ |
| (4) (1)+(2)+(3) | -17% | -13% | -7% | -11% | |
| (5) (4)+事務所の節電 | -17% | -13% | -16% | -16% | 事務所で機器・照明の節電を追加実施 |
| (8-1) 打ち水 | +1% | 0% | 0% | 0% | 13:00に道路面1 m2あたり1 Lの散水 |
| (10-1) 生活時間の前方シフト | +23% | +27% | -10% | +4% | -1時間、サマータイムを想定 |
| (10-2) 生活時間の後方シフト | +2% | +2% | 0% | +1% | +1時間 |
(0)計画停電では、停電中に屋内に熱負荷が蓄えられるため、停電解除後に空調需要が急増し、住宅では却って電力需要が増加、その結果、対象地域全域で9%しか電力需要を削減できませんでした。なお、この計算結果は、全地域を3時間ずつ停電させる5シナリオを組み合わせたものです。実際の計画停電は、都心が除外されたり時間帯が変更されたりする可能性があります。
(1)窓日射遮蔽は、ブラインド、よしずやすだれ、あるいはゴーヤやアサガオなどツル植物による緑のカーテンを想定しました。
(2)通風換気は、最大電力需要日では、昼間が35℃を超えるため、換気できる条件になく効果がありませんが、16時以降は効果があります。エアコンを付ける前に換気をおこなうと、空調需要を減らせます。
(3)我々の調査によると、エアコンの設定温度は、家庭では平均24.5℃、事務所では平均26℃となっています。そのため、すべての家庭が28℃に引き上げれば6~10%程度の節電効果があると評価されました。
(4)空調節電対策すべて(窓日射遮蔽+通風換気+空調設定温度見直し)を実施すれば、家庭では15%減を達成できます。
(5)さらに事務所で経済産業省が発表している機器・照明の節電も追加して実施すれば、家庭でも事務所でも15%減を達成できます。
(8-1)打ち水で気温を下げるには、道路面積1 m2あたり1 Lでも少ないです。条件によっては、湿度を上昇させるため、空調の負荷を増大させてしまう結果となりました。
(10-1)すべての人が生活時間を1時間前倒しすると、暑さの厳しい夕方に、事務所で空調需要が減る一方、帰宅後の家庭で30%程度も空調需要が増えてしまいます。勤務時間を前倒しする一方、退社後を屋外で過ごし、帰宅時間を従来通りに保てば(できれば後ろ倒しすれば)、節電につながる可能性があります。
(10-2)1時間後ろ倒しした場合も、最大電力需要を1%ほど押し上げてしまいます。しかし、6~9時と17~18時の電力需要を5%ほど削減できます。
次ページ以降で、シミュレーションと結果の詳細を紹介していきます。
- シミュレーションモデル
- 気温と電力需要の関係
- 都市気象-ビルエネルギー連成シミュレーション
- 基準ケース
- 2007年8月5日の東京の再現計算
- 最大電力需要日の東京電力管内の推定
- 計画停電
- 計画停電の影響
- 節電対策の効果: 日射遮蔽・室温見直しなど
- 節電対策の効果: 対策の組み合わせ
- 節電対策の効果: 高反射化
- (7) 屋上の高反射化 New!
- 節電対策の効果: 水の利用(打ち水など)
- (8-1) 打ち水(13時)
- (8-2) 打ち水(10時) New!
- (8-3) 打ち水(17時) New!
- (9) 空調室外機への水噴霧 New!
- 節電対策の効果: 行動の変化(サマータイムなど)
- (10-1) 生活時間の前方シフト
- (10-2) 生活時間の後方シフト
- (11) 輪番シエスタ New!
- 参考文献など
- おわりに
- 謝辞
- 参考文献
速報性を重視したため、現段階では、主な結果のみを公開しますが、今後、計算条件や結果の詳細も公開していく予定です。以下に示す対策の効果も近日中に公開予定です。公開しました!(2011年6月15日)
[前へ] [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [次へ]
関連コラム: [1]















