持続可能で、安心・安全な社会実現に向けた評価研究の推進

独立行政法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門

火薬学会技術賞 

火薬学会技術賞

表彰理由:

 松村知治君は,これまで火薬類の安全性評価の実施,また大規模野外爆発実験への参画により, 実社会における火薬類の取り扱い安全性の向上,爆発影響の低減化方法の検討など,鋭意研究 を進めてきた。
 推薦論文「衝撃加圧によるリン酸トリ-n-ブチル/発煙硝酸混合物の反応伝播」においては, 光学的,電気的手法の両手法において当該混合物の反応伝播速度を測定し,入射衝撃圧力の強さ により混合物が異なるメカニズムで爆発に至ることを検証した。当該混合物は使用済み核燃料から ウランやプルトニウムを抽出する反応系であり,核燃料の再処理には欠かせない工程である。 今回得られた知見は,このような潜在的な爆発危険性を有する物質に対して,その危険性を回避 するための貴重な知見である。
 また推薦論文「モルタル,軽量コンクリート,砂をギャップ材に用いた可塑性爆薬のカード ギャップ試験」においては,隣り合う薬室間の殉爆を隔壁で防ぐ火薬庫の隔壁となる材質について, 爆薬量を10 gから20 kgまで変動させ,爆・不爆のギャップ長を求めてその相関関係を確認した。 隔壁で殉爆を防ぐ火薬庫は、同一貯蔵量の従来の火薬庫に比べて保安距離を短くできる可能性を 有している。本データは火薬庫隔壁の材質・仕様を決定する上で有用なデータとなり得るものである。
 以上,2編の論文の研究成果は,再処理業における安全操業の継続,隔壁で殉爆を防ぐ火薬庫の 実用化に大きく寄与するものであり,技術賞に値するものである。
 
推薦論文
「Reaction wave propagation phenomena of tri-n-butyl phosphate and fuming nitric acid (TBP/FNA) mixture by shock loading」
- Sci. Tech. Energetic Materials, Vol.70, No.1, pp. 6 - 9 (2009)
「Card gap tests of plastic high explosive by using mortar, light weight concrete and sand as gap materials」
- Sci. Tech. Energetic Materials, Vol.71, No.5, pp. 129 - 134 (2010)