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フタル酸エステル-DEHP-詳細リスク評価書概要

塩化ビニル(塩ビ)用の可塑剤として大量に使用されているフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP)のわが国におけるヒトの健康と水生生物に対するリスクを評価した。

評価の内容は以下の通りである。
屋内外空気、水質、底質等の環境媒体中のDEHPのモニタリング結果や食事、粉ミルク、離乳食等の中のDEHPのモニタリング結果を基に、わが国全域での一般住民の平均一日摂取量と水生生物の水中と底質中での暴露濃度の分布を推定した。

DEHPを生産している事業所や塩ビ製品を製造している事業所からの環境排出に加えて、使用中および廃棄後の塩ビ製品からのDEHPの環境排出量について解析した。この結果を基にAIST-ADMERやRisk Learning等を用いて、京浜地区一般住民の平均一日摂取量への発生源別および食品群別の寄与を解析した。またAIST-SHANELを用いて多摩川流域を対象に水中濃度への発生源別の寄与を解析した。

DEHPの有害性情報を検討し、ヒト健康リスクを評価する際のエンドポイントとして精巣および生殖毒性を選択し、リスクの判定に用いる無毒性量と基準となるマージンを決定した。さらに、水生生物に対する各種影響試験結果から信頼性と物理的影響の可能性を考慮して、水生生物と底生生物に対する無影響濃度基準となるマージンを決定した。

暴露解析と有害性評価結果から、DEHPによる精巣および生殖毒性のリスクは、現時点で懸念されるレベルにはないと判断された。また、水生生物に対するリスクも、現時点で懸念されるレベルにはないと判断された。

事業者による自主的な取り組みとしての排ガス処理装置設置の費用と大気排出量と京浜地区一般住民の平均一日摂取量の低減への効果を試算した。

以上の評価結果を、詳細リスク評価書としてまとめるとともに、今後、必要と考えられる課題についても触れた。

フタル酸エステル-DEHP-詳細リスク評価書は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託のプロジェクト「化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発」のテーマ「リスク評価、リスク評価手法の開発及び管理対策の削減効果分析」の研究成果である。

評価書の全文は、「詳細リスク評価書シリーズ 1 フタル酸エステル -DEHP-」(丸善株式会社)として 2005年1月に刊行されている。 (ここをクリック