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リスク評価の知恵袋シリーズ2

不確実性をどう扱うか-データの外挿と分布- 概要

「知恵袋シリーズ」は、詳細リスク評価に関係する数多くのプロセスを特定の観点で切り取って解説します。

シリーズの2では、リスク評価の中心問題とも言える不確実性の扱いを、動物データからヒト評価への外挿と、分布のあるデータの統計処理、という2つの観点でとりあげました。

2-1 動物実験データのヒト評価への外挿

第1章 外挿とは:問題の全体像
第2章 現状のまとめ
第3章 関連問題と補足説明
第4章 まとめと今後のあり方
添付資料

ヒト健康リスク評価では、ヒトのデータが少ないために、動物実験のデータをヒトの場合に外挿する必要があります。いわゆる不確実性係数(UF:Uncertainty Factor)を用いて安全側の評価をするというのが、現在の一般的な評価方法です。米国EPAが、1980年頃からまとめてきた経緯を中心に、種間差・種内差・低用量へ・期間差・経路差・その他のUFに関する議論を整理しました。

RenwickらのCSAFsの考え方や、分布状況の評価、各評価機関の考え方もまとめて示しています。

関連する問題として、以下の項目をとりあげました。
・NOAELのlowest/highestの問題
・BMR(benchmark response)のレベル
・体重によるスケーリング BW3/4へ
・RfD値とリスク表現
・Adversity、critical effectの定義
・8つのモデルの比較検討
・発がんと非がんの評価の調和
・代表的研究者の検討経過

2-2 分布データ処理

第1章 なぜ分布データ処理か
第2章 化学物質のPRA(確率的リスク評価)
第3章 分布データ処理の基本
第4章 PRA利用の具体例
第5章 CRM詳細リスク評価での処理
第6章 まとめと今後のありかた
付録 Ⅰ~Ⅵ

確率的リスク評価(Probabilistic Risk Assessment、PRA)に必要な分布をもつデータの処理法の基本を解説しました。中心は、モンテカルロ(Monte Carlo、MC)法ですが、その発展として、ベイズ(Bayes)解析、マルコフ連鎖モンテカルロ(Markov Chain Monte Carlo, MCMC)法まで広げました。

PRAでは、データの変動性V:Variabilityと不確実性U:Uncertaintyの処理が重要です。ヒトの体重のような分布Vをもつデータを暴露評価に反映させるには、その分布の型(例えば対数正規分布)を反映するランダムサンプリングが必要であり、モンテカルロ法が標準的に使われます。さらに複雑な系では、データ不足、あるいは記述力不足によるUの寄与と、データの本質的な変動によるVの寄与を分離して解析することにより系に関する理解が深まりますが、そこで2次元モンテカルロ法が顔を出します。

多くのデータ項目についてその分布の型をすべて実験で決めることは不可能です。出発点として専門家の判断を事前確率分布とし、利用できる観測データを加えて実際をよりよく反映する事後確率分布を得るのがベイズ解析です。

ますます重要になりつつあるPB-PK解析では、多数のパラメータが階層構造的に組み合わされた複雑なモデルを解析的に解くことは不可能なので、数値シミュレーションが使われます。そのプロセス-例えば、ベイズ法によるモデル化、サンプリング、繰返し計算による収束解へ-でMCMC法が活用されます。

各項目のやや詳しい解説を付録としました。
付録Ⅰ 分布型の選択
付録Ⅱ モンテカルロ法
付録Ⅲ サンプリングの方法
付録Ⅳ Bayes(ベイズ)法
付録Ⅴ マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)   付録Ⅵ 測定データそのもののバラツキ

本書の構成などに関して

・基本として、左右2ページの見開きをひとつの単位とし、左側ページで文章により解説し、右側ページに図あるいは表を配置しました。
・図あるいは表は、あくまでも例示のためのものです。詳しい論理、あるいは数値データを具体的に必要とするときには、原資料を参照してください。

リスク評価の知恵袋シリーズ2 「不確実性をどう扱うか-データの外挿と分布-」は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託のプロジェクト「化学物質のリスク評価及びリスク評価手法の開発」のテーマ「リスク評価、リスク評価手法の開発及び管理対策の削減効果分析」の研究成果です。

リスク評価の知恵袋シリーズ2の全文は、「不確実性をどう扱うか-データの外挿と分布-」(丸善株式会社)として2007年10月に刊行されている。 (ここをクリック