ホーム > 研究成果 > 受賞 > 環境科学会 奨励賞

環境科学会 奨励賞

  • 2010年09月16日受賞

メンバー

受賞理由

環境科学分野におけるリスク評価・政策評価

岸本充生氏は、博士(経済学)の学位を有する、社会科学系のバックグラウンドの研究者であるが、これまでの研究活動の中では自然科学の環境健康安全(EHS)分野でのリスク評価も積極的に実施してきた。例えば、トルエンの詳細リスク評価で行った有害性や暴露に関する解析は、自然科学系の研究者でもそうは真似のできない詳細なものである。さらには、岸本氏ならではの研究活動として、行政との連携のもとに、政策評価・規制影響評価、確率的生命価値(VSL)の制度化や利用に貢献したり、また、リスク評価について、社会の中でどう制度化していき誰がどのように実施すべきか(=ガバナンス)という観点から考察してきた。環境科学は本質的に学際的な研究分野であるが、単に複数の学問領域の研究者が集まっただけで学際研究が実施されるわけではない。岸本氏の学問領域の境界をまたいだ取り組みは、今後の環境科学分野での研究のあり方を示していると言ってよい。

また、最近では、ナノ材料といった新規技術のガバナンスのあり方や、安全の再定義といった問題にも取り組んでおり、本人曰く、方向性は「脱『環境』」とのことである。世界の社会経済が大きく変化し、環境問題の構造も大きく変わりつつある近年、逆説的ですが、この「脱『環境』」という方向性も、環境科学の今後のあり方に大きな示唆を与えるものと言える。

こうした岸本氏の環境科学分野における研究は、ますますの活躍が期待されることから、環境科学会奨励賞にふさわしいと判断できる。