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花火

メンバー 中西 準子
 梅雨が明けた。夏と言えば何かみたいな話しはしばしば耳にするが、花火、氷、海などが常連で、その中でも花火はダントツの一位だと聞いたことがある。最近、花火大会が増えているように思う。尤も、かつてはそれぞれの地域でやっていたものを、客を呼ぶために宣伝するようになっただけかもしれない。子供時代、鵠沼や鎌倉に住んでいたので、花火大会は夏の決して欠かすことのない我が家の行事だった。 茣蓙を持参して砂浜に陣取り、最初は寝っ転がるようにして空を見ているのだが、最後の仕掛け花火が近づくといつの間にか背筋をまっすぐに起き上がって見ていた。

もう一方で、縁先で自分たちでも毎晩のように花火を楽しんだ。親類や親から貰った花火を、どうやって使えば夏休みの最後まで保つか、誰に線香花火を持たせ、誰に筒状の大きなのをもたせるか、考えに考えてやっていた。夏中、近所の子供達やおじいちゃんやおばあちゃんを飽きさせないように必死で考えた。夏休みの途中で、伯父が花火の沢山入った袋を持ってやってきたりすると、縁先は一挙に賑やかになった。

既に思い出の中での存在だった花火が、突然自分の仕事の中に入ってきたので驚いた。2年ほど前である。安全科学研究部門は、化学物質リスク管理研究センター、LCA研究センターと爆発安全研究コア(コアと略称)とが合併してできたが、そのコアの研究成果発表の際、「安全を確保する対象としての花火打揚煙火(花火)の技術基準作成」「2009年夏季の花火大会では,筒ばね(打揚筒の中で玉が破裂)は発生したものの死傷者なし! 」という文字を見て、風物詩としての花火のイメージはさらに遠くになってしまった。

安全科学研究部門には、安全できれいな花火を作る研究をしている研究員もいる。爆発安全研究と言うと、如何に爆発を防ぐかの研究だけをしていると思われているかもしれないが、実は爆発反応を使った新技術開発の仕事もしている。花火を作るもその一つである。

さらに、都市発破の研究がある。米国のTVで、大きなビルが爆音と共に一挙に解体される映像を見た方がいるだろう。日本では都市が過密なことと、日本の建物は耐震構造なので、米国のような方法では壊せない。従って、人手を使って機械的に壊している。エネルギーも時間もかかる。小さな爆薬を上手に埋め込めば、うまく解体する技術ができているらしい。コアは、企業と共同でこの研究をしてきた。早く世に出したいものだ。

最近になって、産総研でナノダイヤ作れませんか?という問い合わせが飛び込んだ。直径4nm(ナノ)くらいのナノダイヤが様々な技術に有効なのだが、それは、爆薬を使ってしか作ることができないそうだ。5000度、100万分の1秒という反応条件でできるもので、今は、ロシヤからの輸入に頼っている。部門の研究員に聞いてみたら、実は、かつてその研究をしたことがあるという。特許も少しはあるらしい。ナノダイヤがどうなるかはわからないが、コアが爆発を利用する研究にwingを広げることのできる時代になってきたように思う。