ホーム > コラム > 電力各社の再生可能エネルギー売電契約保留の報道を受けて ~電力各社の最小需要量と再生可能エネルギーの導入状況~

電力各社の再生可能エネルギー売電契約保留の報道を受けて ~電力各社の最小需要量と再生可能エネルギーの導入状況~

メンバー 本田 智則

はじめに

電力会社から相次いで、新規の再生可能エネルギー売電契約の回答保留が発表されました。2014年10月1日時点で、北海道電力東北電力四国電力九州電力から一部容量を除いた再生可能エネルギーの受け入れ回答保留が発表されています。

私達は、日本学術振興会科学研究補助金(課題番号:26241033)『分散型エネルギー取引市場制度設計に関する理論構築、経済実験及び社会実装』の採択を受けて再生可能エネルギーを中心とした分散型電源活用のための制度設計研究を進めていますが、研究方針への大きな影響を与えることから状況を注視してきました。

日本政府は電源構成比20%を上回る水準の再生可能エネルギー導入を目指すことを方針として掲げています。具体的な数値としては2020年発電電力量のうち再生可能エネルギーの割合を13.5%「1414億kWh」、2030年の発電電力量のうち再生可能エネルギー等の割合は20%、2140億kWhが目標として掲げられており、これを上回る水準での導入を目指すとされています(エネルギー基本計画 P20)。

本コラムでは今般の報道等を受け、2014年6月末時点の再生可能エネルギー設備の設備認定、導入実績のデータに基づいて再生可能エネルギーを巡る現状を概観することを目的とします。状況は常に変化しており、本コラムの内容は2014年10月3日時点の情報に基づいています。また、 本コラムの目的は、電力各社の系統連系契約保留の報道を受け、正しい現状把握に対して定量的な示唆を与えること目的としたものであり、その導入促進に賛成・反対と言った意見を形成することは目的としていません。

原子力発電と太陽光発電設備の容量比較

電力各社の再生可能エネルギー発電設備の接続保留を受けて、再生可能エネルギー設備認定容量(2014年6月時点)6870万kWを原子力発電所68基分に相当、という報道が散見されました。

原子力発電所1基の出力を100万kWとした場合、この表現は見かけ上は正しいものです。しかし、実際には原子力発電と再生可能エネルーを単純比較することはできません。

原子力発電は24時間を通じて安定した出力が得られるため、設備点検等を考慮に入れた場合でも100万kWの原子力発電所は設備稼働率80%が実現でき、1年間に約70億kWh(100万kW×24時間×365日×80%)を発電することができます(低炭素電力供給システムに関する研究会報告書より)。

一方、現在の再生可能エネルギー導入の大部分を占めている太陽光発電装置は、日中のみしか発電しないのはもちろん、その日の天候などにも大きく左右されるため、一般に日本国内で1kWの太陽光発電パネルを真南に傾き30°で設置した場合で1年間に発電する電力量はおおよそ1000kWh程度となります。

よって、100万kWの太陽光発電パネルが設置されたとしても1年間に発電される電力量は10億kWhとなります。

100万kWの太陽光発電装置は、見かけ上の出力は原子力発電所1基分に相当しますが、100万kWの原子力発電と同等の電力量を発電するためには700万kWの太陽光パネルが必要になります。

また、既存電源である火力、原子力、水力発電はいずれも出力を人為的にコントロール可能ですが、再生可能エネルギーのうち太陽光や風力といった自然エネルギーは、天候等の自然環境に依存するためその出力を人為的にコントロールができないという特徴があります。

再生可能エネルギー設備認定

固定価格買取制度を利用して、電力会社に売電を行うためには、各種法令で定められた要件を満たせているについて審査する設備認定を受けることが必要です。設備認定を受けた段階で太陽光の買い取り価格が決定され、その後実際の発電装置の設置を行う制度となっています。この認定は電力会社ではなく資源エネルギー庁が実施しています。

実際に売電を開始するためには、設備認定を受けてから太陽光発電設備の設置工事などを行い、その後各電力会社と発電設備を系統(電力会社が持つ送電線)に接続するための契約を別途結ぶ必要があります。今回、電力各社が回答を保留するとしたのは、この接続契約となります。結果として、設備認定を受けていたにもかかわらず、売電が行えない事態が生じました。

大規模な発電設備の設置の工事を開始するまでには時間がかかることが予想されたため、固定価格買取制度運用開始当初は、設備認定を受けても工事開始期限を設けていませんでした。

その結果、設備認定を早期に受けて売電価格を決定させた後、ソーラーパネル等の価格下落を待って工事を行わない「買取価格を維持することが妥当とは思われない案件の存在」が明らかになり、2014年4月からは認定後180日以内(東日本大震災被災地は360日)に発電設備の設置場所、及び設備の確保をするよう制度の運用変更が行われました

同時同量性の原則

ここまでは制度の概要を説明してきました。続いて、再生可能エネルギーを既存の系統に接続するために必要なこととは何かを簡単に説明します。

電力を安定して供給するためには、発電量と需要量(消費量)は常に一致している必要があります。これを「同時同量制約」または「同時同量性の原則」と呼びます。

東日本大震災後に行われた計画停電は、多数の発電所の停止に伴い、需要量をまかなうだけの電源を確保できなくなったことに起因します。このケースのように発電できる電力が需要を下回ってしまうと電力が安定的に供給できなくなることは容易に想像ができます。

直感的には少しわかりにくいですが、逆に発電された電力が需要量を超えて供給された場合も電力の安定供給は行えなくなってしまいます

一部、揚水発電や蓄電池等はありますが、電力は基本的に蓄えておくことが困難なエネルギーです。そのため、発電された電力は発電と同時に使い切る必要があります。そのため、電力システムの安定化のためには需要量を超えた発電が行われることがあってはいけないのです。

そこで、電力会社は中央給電指令所を設置し、発電する電力が需要量と合致するように常にコントロールすることで安定した電力を供給しています。

再生可能エネルギーの大量導入においては、電力会社がコントロール可能な範囲を超えて電力が発電されてしまうことが懸念されています。先に述べたとおり、太陽光や風力と行った自然エネルギーはその出力を人為的にコントロールすることができません。

自然エネルギーによる発電量が需要量よりも十分に小さければ、既存火力発電所の出力コントロール(並列と解列)によって、需要と供給のバランスを保つことができます。

しかし、太陽光発電や風力発電の発電量が電力会社が管理する系統内の最小需要量を上回ってしまうと、電力の安定供給が困難になってしまいます

大量の太陽光発電装置が設置されるなどして供給過多になってしまうと、系統に流れ込む電力が多くなり、系統の電圧を上昇させてしまい、結果として大規模停電等につながる可能性があります。

ただし、設備認定を受けた再生可能エネルギー設備は、出力電圧が、低圧(一般家庭・小規模事業所用電圧)の場合、101V±6V、202V±20V(電気事業法第26条 電気事業法施行規則第44条)の範囲を超えてしまった場合には、系統との連系を解除(解列)する機能が備わっているため、系統を不安定にさせてしまう前に再生可能エネルギー設備は系統と切り離されます。

そのため、設備認定済の装置である限り系統の安定生には大きな影響を与える可能性は低いものの、その場合売電も停止することになるため、太陽光発電等を設置した個人や企業はその間に売電することはできなくなります。

発電装置の容量に依存しますが、現行の固定価格買取制度では30日を超えて発電が抑制された場合電力会社がその損失を補償する制度となっています。結果として、再生可能エネルギーの大量導入が進み、発電抑制が頻繁に発生する状況が生じた場合、年間の発電抑制日数が30日を超えることが予想され、結果的に電力会社の経営に大きな影響を与えることが予想されます。(地域や容量によって保証対象外に変更になっているものもあります)

電力会社別最小需要量

再生可能エネルギーの設置容量が、電力各社の最小需要量よりも少ない発電量で設置されている限りは売電者と電力会社の経済的損失が生じることはありません。

そこで、現在設置されている、または設備認定済で今後設置される予定の再生可能エネルギー設備と電力各社の最小需要量の関係を把握することとします。

固定価格買取制度情報公表用ウェブサイト』では、自治体別の再生可能エネルギー発電設備稼働状況と認定状況が掲載されており、この値を用いて、現在の再生可能エネルギーの稼働容量と認定容量を電力各社が管理する地域における電力最小需要量と比較を行います

電力各社が公表している1時間ごと電力供給実績データを用いて、太陽光の発電出力が最大となる4月、5月の正午における電力会社別の電力最小需要量を求めました。参考値として各社の年間最大需要も記載したのが下図です。

電力会社にもよりますが、1年間の中で電力需要が最小となるのはお正月で多くの企業や店舗が休みになる1月1日または、企業の多くが休みに入る5月のゴールデンウィーク後半となるのが一般的です。一方、再生可能エネルギーのうち、現在その大部分を占めている太陽光発電はその温度特性等から4月または5月の正午に発電量が最大となるのが一般的です。そこで、ここでは電力会社の最小需要量として4月と5月の正午における最小需要量を用いることにしました。

 

uid000026_2014100301275709237b55

赤字が各電力会社における4月、5月の正午における電力の最小需要量、青字は電力会社別の年間の最大需要量を示しています。よって、各電力会社はオレンジのバーで示された範囲内で電力の出力をコントロールすることが求められます。

東京電力を例として説明すると、東京電力管内における4月、5月の最小電力需要量は2412万kW(2014年5月4日正午)でした。また、最大需要量が6089万kW(2008年8月8日14時)となりました。

電力会社9社のうち、最も最小需要量が少なかったのは四国電力で、2014年5月4日正午に記録された211万kWでした。

いずれの電力会社においても、ゴールデンウィーク中の電力需要が最小需要となりました。

  • 電力供給データ出所

各社の電力供給データは下記のリンク先データを産業技術総合研究所にてとりまとめたものを使用しました。また、各電力会社が公開している電力供給データの範囲を()に示します(2014年9月30日時点)。

北海道電力(2011/11/1~)、東北電力(2008/4/1~)、東京電力(2008/1/1~)、中部電力(2010/4/1~)、北陸電力(2012/7/2~)、関西電力(2011/6/30~)、中国電力(2012/7/2~)、四国電力(2012/7/2~)、九州電力(2012/6/29~)

上記データから1時間後と電力供給データをまとめ、最小需要、最大需要を算定しました。沖縄電力についてはデータが公開されていなかったため、最小需要量を求めることができませんでした。また、東北電力については東日本大震災後の2011年4月、5月の値は除外しました。

また、市区町村内で電力会社が異なる自治体についてはいずれか一方の電力会社であるとして集計しました。集計に用いた各電力会社の管轄は下図の通りです。

uid000026_201410032202545f7f8edd

再生可能エネルギー認定容量と実稼働容量

各電力会社の最小需要量は明らかになりましたので、続いて再生可能エネルギーの導入量について議論を進めます。

再生可能エネルギーのうち、太陽光発電とその他(風力、地熱、バイオマス、小型水力)に分けて、既に稼働している発電設備の出力と、認定のみで未稼働の発電設備の出力を電力会社別に図に示しました。

uid000026_20141003192300a91f6cf5

上図で赤い横棒が各社の正午における最小需要を示しており、 青が稼働済の太陽光発電、緑が稼働済のその他の再生可能エネルギーを示しています。認定済ではあるけれど稼働はしていない太陽光発電装置の容量をピンク、未稼働のその他再生可能エネルギーの容量をオレンジで示しています。

この図から、実際に稼働している再生可能エネルギーの発電設備よりも認定のみを受けて未稼働となっている再生可能エネルギー発電設備の出力の方が遥かに大きくなっていることがわかります。

既に稼働している再生可能エネルギー発電設備の出力が電力各社の最小需要に対してどの程度の比率(稼働済再生可能エネルギー出力÷最小需要量)であるのかを示したのが下図です。

uid000026_20141003193333463d0050

 

 

九州電力、四国電力では最小需要に対する稼働済再生可能エネルギーの出力が約30%になっていることがわかります。

各社の電力需要が最小となるのは5月のゴールデンウィーク中であり、一方、太陽光発電が最も高い発電量を記録するのが4月または5月であることを踏まえると、現時点において既に九州電力や四国電力では系統内の電力のうち約30%度が再生可能エネルギーによってまかなわれる状態が発生していることが分かります。

ここまでは既に稼働済の再生可能エネルギー発電設備に付いて見てきましたが、続いて、今後稼働が予想される認定済で未稼働の再生可能エネルギーも考慮に入れた場合の最小需要に対する再生可能エネルギーの比率を確認します。

 

uid000026_2014100319354078b6c02f

九州電力の233%を筆頭に、東北電力、四国電力、北海道電力で100%を上回っていることがわかります。

すなわち、2014年6月時点で認定済の再生可能エネルギー設備が全て稼働した場合、電力の最小需要量を超えて発電が行われる可能性が示唆されます。

再生可能エネルギー電源の大部分を占める太陽光発電装置に設置されているパワーコンディショナーには、系統安定化の歌目の出力抑制、解列制御機構が備わっているため、仮に最小需要量を超えて発電が行われる事態になったとしても電力の安定供給に支障を来す可能性は低いと言えます。しかし、最小需要を超えて発電が行われるような状態が起こった場合には、売電が不可能となり、太陽光発電設備の設置者に損害を与えることになるため、この点は制度上の課題として検討を行う必要があります。

電力会社別の最小需要量と再生可能エネルギーの導入量、及び認定段階の容量を確認してきました。その結果、一部電力会社では最小需要量を上回る再生可能エネルギーが認定されていることがわかりました。

容量別太陽光発電設備の導入・認定状況

ここまでの分析から、再生可能エネルギーの大部分を太陽光発電が担っていることがわかりました。

固定価格買取制度の下では、10kW未満の太陽光発電設備は余剰電力買取となり、発電された電力のうち自家消費をして残った電力のみを売電する仕組みとなっています。しかし、10kW以上の太陽光発電設備を設置した場合は、一般住宅であっても全量買取制度が適用され、発電された電力の全量が売電に回されます。今般の系統接続保留にあたっては、全ての電力会社で10kW未満の余剰電力買取は除外されました。

一般にメガソーラーをはじめとした大規模な発電設備の設置は企業がその事業として実施します。しかし、10kW以上50kW未満の太陽光発電装置の設置は一般の住宅や遊休地などでも容易に行うことができることからその設置が個人によって行われることが多くあります。

東北電力では50kW未満の太陽光発電の接続は回答保留からは除外されましたが、北海道、四国、九州、沖縄電力では10kW以上の太陽光発電装置は回答保留の対象となりました。

各電力会社の容量別太陽光発電装置稼働状況は下図の通りです。

uid000026_201410032007026b35505a

 

沖縄電力では、稼働済の10kW以上50kW未満の太陽光発電装置が他の電力会社よりも大きな比率を占めていることが分かります。

北海道電力では設置済となっている2000kW以上の太陽光発電装置の比率が大きくなっています。これは、設置に適した遊休地が多いことからメガソーラーの設置が進んでいる結果と考えられます。

その他東北電力を除く電力会社では10kW以上50kW未満の太陽光発電設置容量が最も多くなりました。

同様に、認定済容量について確認します。

uid000026_20141003200531e66cf301

 

認定済容量を含めたグラフでは、緑色で示した2000kW以上の大規模太陽光発電設備設置容量が占める比率が最も大きくなっていることがわかります。大規模メガソーラーは認定から実際の稼働までに時間を要するために認定を受けた後設置に至っていないケースが多くあると推察されます。

2000kW以上の太陽光発電設備と同程度の規模で10kW以上50kW未満の太陽光発電装置の認定も多いことが分かります。ただし、東北電力管内では50kW未満である太陽光発電設備の認定量が占める比率は他の地域に比べて小さくなっています。その結果、回答保留対象を50kW以上とすることで十分な効果が得られると考えたものと予想されます。

その他の電力各社については、10kW以上50kW未満の太陽光発電装置が設置容量に占める比率が高いため、これを除外対象とすると送電網の整備等の時間的猶予を得ることができなくなるとの判断があったと思われます。

上記は比率を示したグラフになっていますが、設置容量を縦軸としたグラフを示すと下図の通りとなります。

uid000026_201410032022198555ab61

 

九州電力の太陽光発電装置設置認定容量が最も大きくなっています。九州電力の電力需要は東京電力の約3分の1ですから、認定容量がずば抜けて大きくなっています。

続く東北電力も電力需要は九州電力と同規模ですから非常に認定容量の大きさが理解できます。

政府目標値と現在の再生可能エネルギー稼働状況

政府が掲げるエネルギー基本計画では、2020年に総発電電力量の13.5%に相当する1414億kWhを再生可能エネルギーによってまかなうことを目標にしています。

現在、稼働済の再生可能エネルギー電源をその種類別にまとめると下表の通りとなります。

uid000026_20141006114254994c07bd

 

稼働率は想定ではあるものの、導入済み再生可能エネルギー設備から得られる電力量が123億kWh、認定のみで未稼働のものから得られる電力量が738億kWhとなりました。

2020年の政府目標値である1414億kWhに対して、稼働済のもののみで8.7%が達成されており、認定段階のものも全て稼働した問い想定である861億kWhで目標の61%であることが分かります。

よって、2020年の再生可能エネルギー比率13.5%を達成するためには、認定された全ての再生可能エネルギー電源が接続されても達成は困難であり、追加的に551億kWhの再生可能エネルギー電源が必要になることになります。

まとめ

ここまで電力各社の年間電力最小需要量と、固定価格買取制度の導入によって新たに導入された再生可能エネルギーの発電出力の比較を行ってきました。

その結果、現在最も普及している再生可能エネルギーの一つである太陽光発電設備の発電量を、4月、5月の電力各社の最小需要量と比較したとき、現在の導入量ベースでは最小需要量を超えることはないことが確認できました。

しかし、今後導入が予想される認定済容量ベースでは、系統連系契約の保留がアナウンスされた、北海道、東北、四国、九州電力の4社では最小需要量を上回る可能性が示されました。特に九州電力では認定済の再生可能エネルギーの発電設備が全て設置され発電された発電電力は、4月、5月正午における過去の最小需要量に対して認定容量の2.3倍以上に達することが確認できました。

一方で、政府が定めた再生可能エネルギー導入の目標値である、総発電電力量ベースで2020年までに1414億kWhを確保するという目標に対しては、認定済の再生可能エネルギー発電設備が全て導入されたとしても目標値の61%しか達成できず、2020年までにはより多くの再生可能エネルギー発電設備の導入が必要であることもわかりました。

現状の再生可能エネルギー発電設備は設備認定を受けて設置が行われており、認定済発電設備には電圧上昇抑制機能が取り付けられているため、仮に最小需要量を超えて発電が行われるような事態になったとしても、再生可能エネルギー発電設備は、系統から解列され、系統そのものに対してダメージを与える事態は考えにくいと言えます。

実際には、最小需要量を超えて発電が行われるような事態が生じた場合には、再生可能エネルギー発電設備は系統から解列されることとなり、結果として系統に対して影響を与える可能性はないものの、発電装置の設置者は当初予想された収益を上げることが困難になる事態が考えられます。さらに、現在の固定価格買取制度では、電力会社に再生可能エネルギーの買取を義務づけており、かつ、1年当たり30日を超えて発電抑制が行われた場合は発電設備の設置者に対して、電力会社がその損失を補償することを求めています。そのため、再生可能エネルギー設備が大量に導入され、発電抑制が頻発する事態となった場合には、電力会社に対して多くの経済的負担を求める仕組みとなっており、電力会社の経営を圧迫してしまう可能性が示唆されました。

以上の観点から、再生可能エネルギー設備の更なる普及は必要であるものの、現行制度下においてはその負担が電力会社の経営を圧迫する可能性も示唆されており、その負担をどのように配分するかの議論が必要であろうと考えます。

また、今回のコラムでは、電力会社の系統管内という大きな範囲での議論を中心として行いましたが、実際にはより小さな範囲、具体的には自治体レベルでの再生可能エネルギー発電設備の普及状況を確認し、小規模な系統範囲における送電網の整備についても検討していくことが必要と考えます。そこで、このコラムとは別のコラムとして、自治体レベルにおける再生可能エネルギーの普及実体をまとめたいと思います。

参考:日本の再生可能エネルギー導入目標

2014年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画では、2050年までに先進国では80%削減という目標達成が求められていることを背景として、再生可能エネルギーを『安定供給面、コスト面で様々な課題が存在するが、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源である。』と位置づけ、『2013年から3年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していく』という方針が示されています。

参考:諸外国の再生可能エネルギー導入目標

  • 米国
    再生可能エネルギー由来の電力割合を2025年までに25%にすることを目標としている。(New energy for America)
  •  EU
    2020年までにEU区域内最終エネルギー需要に占める再生可能エネルギーの割合を20%まで引き上げることを目標としている。(2009/28/EC)
  • 中国
    2015年までに再生可能エネルギー設備、太陽光20GW、風力70GW、従来型水力60GWを追加するという目標を掲げている(第12次5ヶ年計画
    【参考:日本における2014年6月時点のFITによる太陽光発電設備導入済容量は6.4GW】

参考資料

注意:本コラムは、筆者が所属する産業技術総合研究所及び産業技術総合研究所を所轄する経済産業省の見解ではなく、筆者個人の研究者としての見解を示しています。