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計画停電と空調節電対策(速報)(3): 基準ケース

グループ 社会とLCA研究グループ
メンバー 井原 智彦

2007年8月5日の東京の再現計算

東京都区部および多摩地域の一部を約500 m × 約500 mの区画(4次メッシュ)に分け、そのうち建物が存在しない区画などを除いた3,162区画を計算対象地域としました。

targetArea_0
図3 計算対象領域(計3,162メッシュ)

2007年8月2日から8月15日までの14日間をすべて平日だと仮定して計算し、最大電力需要が最も大きくなった8月5日を「最大電力需要日」としました。実際に、8月5日は最高気温が35℃を超えた猛暑日でした。

気温

以下は、AIST-CM-BEMによって再現された最大電力需要日の東京の気温分布です。

surfaceAirTemp_0
図4 計算対象領域の地上気温分布(最大電力需要日15:00)

電力需要

同時に、各メッシュの毎分の電力需要を計算しました(出力は10分平均)。計算対象領域の全メッシュの電力需要を積み上げ、需要カーブを描くと以下のようになりました。

rawDemandCurve_base_0
図5 最大電力需要日の需要カーブ(基準ケース)

室温

最大電力需要時である15時の空調室の室温分布は以下のようになりました。過負荷が発生している一部の地域を除き、家庭では24.5℃、事務所では26℃に保たれています。

indoorTemp_base_0
図6 計算対象領域の空調室の室温分布(最大電力需要日15:00)

最大電力需要日の東京電力管内の推定

電力需要

以上で示したのは、東京都区部および一部の多摩地域の需要カーブです。しかし、計算対象地域と東京電力管内とでは、家庭と業務の割合、家庭における戸建住宅と集合住宅の割合が異なります。また、業務の多くを占める事務所のスケジュールを用いてシミュレーションしましたが、スーパーやホテル、病院は事務所とはスケジュールが異なります。 経済産業省が発表している最大電力需要日とは気象条件も異なります。そこで、 東京における家庭(戸建住宅、集合住宅)と事務所の計算結果が、東京電力管内全域に適用できると仮定し、以下の条件に基づいて、経済産業省が発表している最大電力需要日の需要カーブ9)を描きました。

  • 東電管内における統計データより
    戸建住宅と集合住宅の延床面積比 = 0.68 : 0.32
  • 経済産業省の最大電力需要日の需要カーブ内訳より
    15時における業務合計 = 家庭合計 × 1.4
    15時における業務空調 = 業務合計 × 0.423
    業務空調の日最小需要 = 業務空調の日最大 × 0.227

上の条件を満たし、15時の総計が100となるように、建物用途別の単位面積当たり平均値に以下の処理を施しました。

  • 家庭(戸建住宅) × 2.86394 ※ベース・空調共通
  • 家庭(集合住宅) × 1.37603 ※ベース・空調共通
  • 業務ベース × 0.96998
  • 業務空調 × 0.35433 + 5.601225

すると、以下の需要カーブとなりました。15%減の削減目標を赤い線で示しています。

demandCurve_base_0

図7 最大電力需要日の需要カーブ(基準ケース)

以下、この需要カーブを基準ケースの結果とします。計画停電の影響や節電対策の効果は、この基準ケースの14:30の電力需要を基準として評価しました。

産業部門を含む電力需要(参考)

今回は家庭・業務部門の電力需要のみ評価していますが、産業部門の電力需要はほとんど気温に依存しない10)ため、上のグラフにそのまま積み上げることができます。

計画停電や時間シフトを伴う対策は、産業部門の電力需要にも影響を与えますので、この産業部門を含むグラフも参考として用います。

基準ケースにおける産業も含んだ全体の最大電力需要を100%としています(他のグラフと区別するため、縦軸を青字で表示します)。同じく15%減の削減目標を赤い線で示しています。

demandCurve2_base_0
図8 最大電力需要日の産業を含む需要カーブ(基準ケース)

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