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あらまほしき研究者~序

メンバー 松永 猛裕
私は理系研究者であるが、古典や歴史書が好きだ。「徒然草」、「枕草子」などに見られる「もののあはれ」という美的観念は田舎育ちの私には十分に共感できる。また、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」とはじまる「方丈記」や「盛者必衰の理」の「平家物語」には、無常観が漂っていて「あはれ」である。一方、歴史書の中では戦国武将の話が好きだ。特に「徳川家康」は座右ならぬ枕元の書である。なにが良いかというと武士とはかくあるべきという「武士道」を感じることができる。これらの書は、私にとって一日を終えて床につくときに、社会人として研究者として来し方行く末を考える良いヒントを与えてくれる。
さて、今年度から私共の部門HPにコラムを掲載することになった。特にグループ長以上は積極的に対応すべしとのこと。コラムという性格上、部門HPではなく、個人ブログなどでの発信の方が適切ではないかという議論もあった。たしかにコラムといえば、一般記事とは違い、自己表現・主張が不可欠であるし、それが産総研や部門の方向性と一致しないこともあり得るだろう。まじめすぎては読んで頂けないし、柔らかすぎると部門HPの内容としてはいかがなものかというクレームが付く。そういう危険性があるものの、やってみようという部門関係者のアクティビティはとても良い。うまくいくかどうかは、執筆者の中庸の精神、バランス次第である。このコラムは1月を目処に更新することになっている。
どんなテーマで書いていこうかと考えて、表題のタイトルにした。今後、「あらまほしき研究者」と題して、研究者はかくあるべきという私の主張を連載していきたい。自己紹介の欄で書いたように、私は大学の研究室でその後の運命を変えるジャンケンに負けて、思いがけずに爆発安全という領域で研究している。今年で研究生活は28年(研究室に配属されてから)、論語でいうところの「天命を知る」50歳を迎える。幸いにして数多くのニーズがあり、研究室は「爆発安全の駆け込み寺」として千客万来の状態である。「化学物質が爆発することのないように、また、安全で有効に取り扱うことができるような対策を考えることで、世のため人のために尽くしなさい!」というのが天命ではないか?一方で、いろいろな研究者・技術者・実習学生の方と接してきて、研究者として必要なものは何かということをいろいろ考えさせられる場面があった。
私のコラムでは研究者として「あらまほし」ことに焦点をあて、「げにげに。さもありなん!」と言って頂けるかどうかを問うてみたい。

次回:5月7日更新予定