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あらまほしき研究者~第9話 君子危うきに近寄らず?!

メンバー 松永 猛裕
 部門HPの中でアクセス数が多いのは自己紹介とコラムらしい。私のコラムは11月までは定期的に投稿できていたのだが、年度末になるに連れて仕事が過密になり、更新できなくなっていた。すると、いろいろなところから、心配&励ましメールを頂いた。とてもありがたいことだ。研究者はレアな人種であるが、研究以外の部分の「飾らないナマの人間」の意見を聞いて頂くのも良いのではと考えている。幸いなことに年度末の仕事もピークを過ぎて片づきつつある。今回は、これからピークを迎える花粉症の話をさせて頂く。

「君子危うきに近寄らず」ということわざがある。私はおおむね慎重に危険を回避しながら生きてきたつもりだ。しかし、私の油断でこのことわざをやぶってしまい、後悔していることがある。それは、つくばに引っ越して初めての初春の頃だった。1歳の長男を連れて万博記念公園を散歩していたところ、スギの木から黄色い花粉が飛散しているのに気が付いた。健康が自慢の私は無造作に近づいていって、スギの花とか花粉を素手でいじってしまった!「これが花粉かあ。こんなものに負けて花粉症になる弱い奴がいるんだよね」って感じで。もちろん、「この私が花粉症などになるはずがない!そんな病気は鍛え方が足らない奴がなるんだ!」という傲慢な自信があったのも確かである。

やめておけば良かった!まさに「後悔先に立たず」である。1時間もしない内にまず、目が血走ってきて涙が止まらない。続いて、くしゃみが立て続けに起こった。誰が見ても急性(!?)の花粉症である。ほうほうの体で公園から逃げ出してきた。その日から私は花粉症である。もちろん、花粉の多いつくばでは、この一件がなくても花粉症になっていたかもしれない。でも、あと数年は回避できていたのではないか?

花粉症は原因がわかっているので気は楽だ。しかし、その時期だけは鼻で呼吸ができない、寝不足等でつらい思いをする。声が出なくなったこともあった。今年の飛散量は例年の10倍程度だと言われている。今から恐怖におびえている。大好きなテニスも当分、控えるしかない。

ところで、私は爆発という危ない研究をしている。「君子」であっても「危うきに近寄る」必要がある。しかしながら、危険はあるものの、大事に至ったことはあまりない。なぜならば、「爆発してもおかしくはない」ということを前提に防護策を考えているためだ。毒物や粉塵にも気を配っている。写真は同僚が禁水性物質アルキルアルミニウムの爆発性を調べる実験を行ったときのものだ。大量を扱うわけではないが、このくらいの注意は必要だ。スギ花粉もこのくらいの慎重さでいくべきだった!

禁水性物質を扱ったときの同僚の勇姿

禁水性物質を扱ったときの同僚の勇姿
 研究者を管理する側にとっては、「危うきに近寄らず」でいてほしいに違いない。しかし、それでは研究にならない。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ということわざもある。「危うき」を十分に予測した上で、対策を入念に検討し、特級品の成果(=虎子)を得るためのチャレンジをするのが「あらまほし」であろう。

次回:3月上旬更新予定