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排出暴露解析グループ

グループ長 恒見 清孝

メンバー

新規物質や代替物質、混合物などについて、ヒト健康や生態へのリスクの評価を進めています。
それらの物質のライフサイクル全体を考慮した排出・暴露解析を実施し、物性解析手法、環境中への排出量推定手法、ヒト・生物の暴露量・リスク推定手法等の開発に主に取り組んでいます。
また、自然災害リスクや新規技術による事故リスク評価にも取り組み、水素エネルギーキャリア物質のリスク評価手法の開発や放射線対策のリスクトレードオフ解析に取り組んでいます。

水素キャリアの定量的リスク評価および社会受容性評価

燃料電池車(FCV)の普及にあたり、FCVに燃料である水素を供給するためのシステムも同時に社会に導入する必要があります。特に市民にとってFCVへの燃料供給の拠点となる水素ステーションについては、その安全性への懸念から社会受容性の向上が課題となっています。

安全科学研究部門では、水素ステーションの定量的リスク情報と安全対策によるリスク低減効果などの科学的知見を蓄積し、事業者が周辺住民への説明に利用できる情報の提供を行います。ここでは水素キャリア(アンモニア、メチルシクロヘキサン(MCH))の燃焼爆発特性データおよびステーションや家屋の脆弱性に関するデータ、事故発生確率を用いてヒト健康リスクの定量化を行います。水素ステーションの導入シナリオごとの便益(大気汚染物質、二酸化炭素の排出削減効果)も定量的に評価し、リスク統合化の方法を検討しています。さらに、これらのリスクと便益との定量的評価を提供した社会受容性評価を行うとともに、リスクコミュニケーション手法ガイドラインを提案します。

2014年秋から、科学技術振興機構(JST)の「戦略的イノベーション創造プログラム」の中で、「エネルギーキャリアの安全性評価研究」として、横浜国立大学や広島大学との共同研究を進めています。

科学技術振興機構戦略的イノベーション創造プログラム


科学技術振興機構「戦略的イノベーション創造プログラム」WEBサイト:http://www.jst.go.jp/sip/k04.html

 

消費者製品の室内暴露評価

消費者製品中の化学物質の室内での暴露について、事業者や行政が実務に使用できる暴露評価ツールが開発されてきています。しかし、ハウスダスト経由の経口暴露に使用できるツールについては、日本のみならず欧米にもありません。そこで、プラスチック添加剤の可塑剤、難燃剤や顔料のマテリアルフロー解析でそれらの室内流入量や室内存在量を推定するとともに、可塑剤や難燃剤のハウスダスト直接移行を再現する試験方法を検討し、プラスチック添加剤のハウスダスト移行速度推定式の開発を行っています。室内暴露評価ツール(iAIR)の発展形として、上記を組み込んだ消費者製品室内暴露評価ツール開発に寄与し、事業者及び行政による消費者製品の適切な管理を支援します。

室内暴露評価ツール(iAIR)、環境暴露モデリンググループ WEBサイト: /groups/emg/

室内暴露評価ツール(iAIR)

複雑混合物のリスク評価に向けた暴露評価手法開発

製品中や環境媒体には実に様々な化合物が含まれ、複雑な組成をした混合物となっているものが多く存在します。従来の化学物質リスク評価においては、個別の化合物に着目してリスク評価が行われてきましたが、実際の状況では私たちは複数の物質にさらされています。そこで、複数物質・混合物のリスクを評価できる手法が必要となります。当グループでは最先端分離分析技術を利用し、化合物を分類する方法及びそれら分類群の物性値を推定する手法を発展させ、複雑混合物の暴露評価手法の開発を目指します。この手法を基盤とすることで複雑混合物のリスク評価の実現につなげます。

複雑な化学組成をした混合物を2次元クロマトグラフにより分析した例

複雑な化学組成をした混合物を2次元クロマトグラフにより分析した例

化合物の収着特性が異なる分離カラムを2段階組み合せることにより、マップ画像として物性類似化合物群が近接領域に溶出している様子が判断できます。この技術を応用して、複雑混合物の評価手法確立を目指します。

ナノ材料の排出・暴露評価

カーボンナノチューブ(CNT)等ナノ材料は、新規材料ゆえにその安全性の評価や適切な管理が求められます。そこで、ナノ材料の吸入暴露に焦点を当て、ナノ材料の排出・暴露の状況を把握するために、飛散したナノ材料を計測する技術の開発や、ナノ材料及びその応用製品を取り扱う現場の環境調査、飛散の程度や可能性を評価する模擬排出試験を行っています。これまでに、「ナノ材料のリスク評価書」、「ナノ材料の排出暴露評価書」、「CNTの作業環境計測の手引き」等を作成・公開し、情報提供や技術相談等を通して、事業者等の自主安全管理を支援しています。

ナノ材料のリスク評価書&ナノ材料の排出暴露評価書:/assessment/11911/
CNTの作業環境計測の手引き:/assessment/717/

ナノ材料のリスク評価書&ナノ材料の排出暴露評価書

知的な化学物質リスク評価管理の統合システム開発(AIST-MeRAM)

 リスク評価を行うには、煩雑な評価手続きに多大な時間と高度な専門知識が必要とされ、「素人には無理、玄人には戸惑い」と言われています。私たちは2010年から事業者のための知的な化学物質リスク評価管理のITソリュッションを提供するため、高度なリスク評価技術および膨大な評価用データを搭載した、誰でも容易にリスク評価が行える知的基盤システム(AIST-MeRAM)を構築してきました。2013年7月に日本語版0.9.12、2014年12月に英語版1.0.0をそれぞれ最初の一般公開版としてリリースしたあと、2017年4月にリスク管理オプション提示機能などを追加搭載したバージョン2.0の日本語版&英語版を同時にリリースしました。ご興味のある方、以下のAIST-MeRAM公式サイトから詳細な紹介およびインストール用プログラムが無料に入手できます
(日本語:https://meram.aist-riss.jp; 英語:https://en-meram.aist-riss.jp)。
 しかしながら、現バージョンのAIST-MeRAM(Ver. 2.0)では、新規物質や毒性値欠損の既存物質のリスク評価管理には対応できないです。そこで、すべての化学物質のリスク評価管理に対応できるシステムの構築をめざして、私たちは2016年から日化協LRIの指定研究課題に採択され、豊橋技科大の高橋由雅先生とのコラボ研究や環境省の生態毒性予測QSARシステム(KATE)との連携などの研究を行っています。図には本研究の全体像と期待される研究成果を示しております。

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