頭士 泰之 Yasuyuki Zushi

自己紹介

私たちの身の回りで利用される化学物質や、環境中に存在する様々な化学物質について、その存在実態を明らかにしリスク評価するための研究開発に取り組んでいます。
その上で、化学物質を安全に利活用できる社会形成への貢献を目指しています。

ちなみに、「化学物質の安全性についての問題」というと、みなさんはどのような事をイメージされるでしょうか?
ひと昔まえだと、ダイオキシンや環境ホルモンなどマスコミを賑わせていた環境汚染問題を挙げられる方が多いと思います。
さらに遡ると、公害問題と呼ばれる鉱毒事件や水銀汚染なども挙がってくると思います。
逆に最近になると、明確に「コレだ!」と挙げられる方はとても少ないのではと思います。
それは、重大な社会的問題となる化学物質の事件や汚染問題が、過去からの学びも助けて、発生件数が減り目立たなくなっているためです。

これはもちろん良い事です。
ただ、化学物質の社会利用自体は益々強まっていると言え、有史以来発見・合成された化学物質の登録数を示すCAS番号の数は2016年に累計1億を突破しました[1]。10年前にはその4分の1、25年前には10分の1だった事を踏まえると、凄まじい開発速度です。
確かに、化学物質1つ1つが引き起こす問題は減少してきている印象ですが、実は薄く広くなり目立たなくなっただけで、化学物質全体としてはリスクの大きさは変わっていない・大きくなっているのかもしれません。
あるいは、多種多様な化学物質が存在するようになることで、これまでとは異なるタイプのリスクを引き起こすのかもしれません。
こうした視点を含む議論は、「地球を脅かす9つの問題」の1つとして考えられ、最先端の研究として始まっていますが[2]、それを調べるための技術が不足していたり、既存の知識が限られている事から、最もよく分かっていない問題の1つに数えられています。

つまり、化学物質の安全性の問題は「減ってきている」というよりは「姿を変えてきている」と捉える方がより正しいのかもしれません。

しかし今、私たちはその「姿を変えてきている」化学物質の安全性の問題、すなわちリスクをきちんと評価するすべを有していません。
そもそも、身の回りにどのような化学物質が存在しているのかすら、よく分かっていないまま暮らしています。その技術が未発達なのです。

私たちは人工的に化学物質を製造して利用していかなければ、生活基盤を作れませんし、場合によっては生命も維持できません。まさに化学物質依存社会に暮らしています。

便利な化学物質の利用とは何を意味するのか、まずは我々を取り巻く実態をきちんと知る事、そしてその先に何が起こりうるのかを賢く予測する事、その影響の大きさを測れる事が重要だと言えそうです。

そういう事を、折に触れ考えながら研究を推進しています。

References
[1] CASウェブサイト,http://support.cas.org/news/media-releases/100-millionth-substance
[2] サイエンス誌ウェブサイト,http://science.sciencemag.org/content/347/6223/1259855.full

研究概要

  • 最先端計測手法の開発と環境モニタリングへの応用
  • GISを利用した化学物質の排出源・動態解析
  • 化学物質管理とリスク評価

研究業績

詳しくはHPに記載

外部予算

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