NEDOプロジェクト
ナノ粒子特性評価手法の研究開発
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研究開発項目

3. 工業ナノ粒子の有害性評価手法の開発
(1)工業ナノ粒子有害性評価試験の開発
ウ.生体影響プロファイルの作成・評価手法の開発

実施者(所属)

岩橋均, 吉田康一, 堀江祐範, 藤田克英, 西尾敬子, 福井浩子, 石田規子(産総研 健康工学センター)

研究目的

生体影響プロファイルの作成・評価手法の開発

内容・成果

(1) ヒト培養細胞を用いたin vitro試験
  • 単純化された実験系である培養細胞系を用いたナノ粒子の細胞影響の検討。
  • ヒト由来の細胞(経皮モデル, 経気モデル, 免疫応答モデルなど)にナノ粒子を投与し種々の細胞影響評価指標を測定することで, ナノ粒子により起こり得る生体反応を推定し、影響評価指標を提案する.
  • 細胞応答に影響すると考えられるナノ粒子の物理的・化学的なキャラクタリゼーションを用いた影響検討のための最適な評価系の開発.
【対象物質】
  1. 金属酸化物: TiO2、ZnO、NiO、CeO2、Al2O3 など 約30種類
  2. 炭素系化合物: フラーレン、カーボンナノチューブなど 約5種類
  3. 金属: Au、Pt、Ag
  4. その他: CaCO3など
【細胞影響評価指標】
  1. 形態観察(光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡)
  2. 細胞生存率
  3. 酸化ストレス応答
  4. アポトーシス
  5. 免疫応答
  6. 網羅的遺伝子発現解析 など
【ナノサイズ金属酸化物の影響評価】
  • 金属酸化物ナノ粒子について、均一かつ安定した分散液による細胞影響の評価系を確立した。
  • 金属酸化物ナノ粒子は培養液中で凝集体を形成し、再分散することなく細胞内に取り込まれていた。
  • いくつかの金属酸化物は、ナノ粒子で細胞内酸化ストレスとアポトーシスを亢進した。
  • 各種の金属酸化物ナノ粒子での遺伝子発現解析の結果は、同様な粒子径や毒性を示しても、生体への影響は、金属酸化物の種類によって非常に異なることを示唆した。
  • ナノ粒子の細胞毒性は、細胞に取り込まれた後の細胞内におけるナノ粒子の物理・化学的活性に依存すると考える。特に粒子のナノ化により溶解性が増加する傾向にあり、細胞内での溶解(金属イオンの溶出)が細胞影響に重要である。
(2)ラットの各組織および血液を用いたin vivo試験

工業ナノ粒子を気管内や吸入暴露したラットの肺組織や血液などを対象に、バイオマーカーの測定やDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析を行っている。

【気管内投与実験】
  • 血漿および肺の酸化ストレスマーカーや抗酸化物質の計測を行い、ナノ粒子の違いによる生体反応の特異性を確認した。
  • いくつかの金属酸化物の投与初期において、炎症反応やケモカインに関連する遺伝子の高発現が認められた。
  • 細胞外マトリックスの分解酵素をコードする遺伝子の顕著な高発現が認められた。
  • 遺伝子発現の結果は、肺の病理学的観察や気管支肺胞洗浄液中での生化学的解析などの結果にほぼ一致するものであった。
【吸入暴露実験】
  • 金属酸化物の暴露後の直後では、炎症反応や免疫関係の遺伝子の高発現が認められ、その後、これらの発現は減少した。
  • 低濃度の炭素系化合物の暴露後では, コントロール群に対して高発現する遺伝子総数や, 炎症に関連する遺伝子数は少ないが, 高濃度では炎症反応などの遺伝子の高発現が認められた.

遺伝子発現解析を用いた吸入暴露ラット肺組織におけるC60フラーレンおよびナノ酸化ニッケル(Uf-NiO)の影響評価

細胞内に取り込まれた金属酸化物粒子の様子

ナノ粒子による推定細胞影響メカニズム

外部発表

誌上発表

Horie M, Nishio K, Fujita K, Endoh S, Miyauchi A, Saito Y, Iwahashi H, Yamamoto K, Murayama H, Nakano H, Nanashima N, Niki E, Yoshida Y. Protein adsorption of ultrafine metal oxide and its influence on cytotoxicity toward cultured cells. Chem Res Toxicol. 2009, 22: 543-553.

Fujita K, Morimoto Y, Tanaka I, Endoh S, Uchida K, Tao H, Akasaka M, Inada M, Yamamoto K, Fukui H, Hayakawa M, Horie M, Saito Y, Yoshida Y, Iwahashi H, Niki E, Nakanishi J . A gene expression profiling approach to study the influence of ultrafine particles on rat lungs. In Atmospheric and Biological Environmental Monitoring (Eds. Kim, Y. et al.), Springer-Verlag GmbH, Netherlands, 2009, 219-227

Fujita K, Morimoto Y, Ogami A, Myojyo T, Tanaka I, Shimada M, Wang W, Endoh S, Uchida K, Nakazato T, Yamamoto K, Fukui H, Horie M, Yoshida Y, Iwahashi H, Nakanishi J. Gene expression profiles in rat lung after inhalation exposure to C60 fullerene particles. Toxicology. 2009, 258:47-55

藤田克英, 森本泰夫, 大神明, 明星敏彦, 田中勇武, 島田学, Wei-Ning Wang, 遠藤茂寿, 内田 邦夫, 衣笠晋一, 加藤晴久, 高橋かより, 田尾博明, 稲田征治, 中里哲也, 山本和弘, 福井浩子, 堀江祐範, 吉田康一, 岩橋均, 中西準子. 遺伝子発現解析による工業ナノ粒子の生体影響評価. 環境毒性学会誌. 2008, 11: 69-73

口頭発表

藤田克英, 蒲生昌志, 岩橋均, 中西準子. NEDOプロジェクト「ナノ粒子特性評価手法の研究開発プロジェクト」の紹介. ナノテクノロジー国際標準化ワークショップ. 東京, 2009-02-18.

Fujita K, Morimoto Y, Ogami A, Myojo T, Tanaka I, Shimada M, Wang W, Endoh S, Uchida K, Tao H, Inada M, Nakazato T, Tamura M, Yamamoto K, Fukui H, Hayakawa M, Horie M, Yoshida Y, Iwahashi H, Nakanishi J. Gene expression profiling for toxicological assessment of manufactured nanoparticles in rat lung. Korean Environmental Toxicology Meeting, Seoul, 2008-10-31.

藤田克英, 森本泰夫, 大神明, 明星敏彦, 田中勇武, 島田学, Wei-Ning Wang, 遠藤茂寿, 内田 邦夫, 衣笠晋一, 加藤晴久, 高橋かより, 田尾博明, 稲田征治, 中里哲也, 山本和弘, 福井浩子, 堀江祐範, 吉田康一, 岩橋均, 二木鋭雄, 中西準子. ナノ粒子の生体影響評価への遺伝子発現解析の可能性. 第14回バイオアッセイ研究会・日本環境毒性学会、合同研究発表会. つくば, 2008-10-8.

吉田康一, 堀江祐範, 藤田克英, 加藤晴久, 衣笠晋一, 高橋かより, 遠藤茂寿, 山本和弘, 岩橋均, 二木鋭雄. 超微細金属酸化物の培養細胞に及ぼす生物学的影響、NEDO-産総研-OECD合同国際シンポジウム 工業ナノ材料のリスク評価. 東京, 2008-04-23.

Fujita K, Morimoto Y, Tanaka I, Endoh S, Tao H, Akasaka M, Inada M, Yamamoto K, Fukui H, Hayakawa M, Horie M, Saito Y, Yoshida Y, Iwahashi H, Niki E, Nakanishi J. Gene expression profile of the response to ultrafine nickel oxide particles in rat lung after intratracheal instillation using DNA microarray. The 7th International Symposium on Advanced Environmental Monitoring. Honolulu, USA, 2008-02-25/28.

Fujita K, Morimoto Y, Tanaka I, Endoh S, Tao H, Akasaka M, Inada M, Yamamoto K, Fukui H, Hayakawa M, Horie M, Saito Y, Yoshida Y, Iwahashi H, Niki E, Nakanishi J. Effects of nano-sized nickel oxide particles on gene expression patterns in rat lung after intratracheal instillation. International Symposium on Biomarkers of Oxidative Stress in Health and Diseases (BOSHD 2008). Osaka, Japan, 2008-01-16/19.

Horie M, Saito Y, Yoshida Y, Fujita K, Endoh S, Kato H, Kinugasa S, Takahashi K, Yamamoto K, Iwahashi H, Niki E, Nakanishi J. Both Ultrafine and fine TiO2 particles induce oxidative stress to a cultured cell in vitro. International Symposium on Biomarkers of Oxidative Stress in Health and Diseases (BOSHD 2008). Osaka, Japan, 2008-01-16/19.

Horie M, Endoh S, Kato H, Kinugasa S, Takahashi K, Fujita K, Saito Y, Yoshida Y, Iwahashi H, Niki E, Nakanishi J. Biological effects induced by ultrafine TiO2 in cell culture system. 4th International Congress of Nanotechnology (ICNT) 2007. San Francisco, USA, 2007-11-5/8.

Fujita K, Morimoto Y, Tanaka I, Endoh S, Tao H, Akasaka M, Yamamoto K, Fukui H, Horie M, Saito Y, Yoshida Y, Iwahashi H, Niki E. Gene expression analysis in the rat lung after intratracheal instillation of nano-sized nickel oxide particles. 13th International Symposium on Toxicity Assessment. Toyama, Japan, 2007-08-19/24.