NEDOプロジェクト
ナノ粒子特性評価手法の研究開発
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研究開発項目

1. 工業ナノ粒子のキャラクタリゼーション手法の開発
1)媒体中における工業ナノ粒子のキャラクタリゼーション手法の開発
ア.気中粒子計測技術開発
b. 気中粒子オンライン特性評価技術開発

実施者(所属)

榎原研正、桜井 博、矢部 明((独)産業技術総合研究所 計測標準研究部門) 瀬戸章文(金沢大学大学院自然科学研究科)

研究目的

気体中に工業ナノ粒子がどのような濃度で存在しているかを実時間モニタリングするためには、工業ナノ粒子を一般の背景粒子と識別しつつ検出可能なオンライン測定技術が必要になります。これを実現するために、(1) 粒子の複数の特性を同時に評価する多元特性同時評価によって工業ナノ粒子を識別検出する技術、及び(2) 10 nm以下の工業ナノ粒子を安定に検出する技術の開発を行っています。

内容・成果

気中ナノ粒子の多元特性同時評価のための実験装置の例を図1に示します。この配置では、DMAを用いて粒子をサイズ(移動度等価径)で分級した後、エアロゾル粒子質量分析器(APM)を用いて質量分級することにより粒子の有効密度についての情報が、またDMA分級後、光散乱式粒子計数器(OPC)を用いて光散乱等価径を求めることにより、粒子の光学的特性についての情報が得られます。図2はNiO粒子に対して得られたDMAとAPMによるサイズ/質量同時分布スペクトルです。このような同時スペクトルのピークを与えるサイズ/質量を対象として粒子の検出を行うことにより、特定の粒子種にのみ敏感な粒子数濃度モニタリングが可能になると考えています。また、このような同時スペクトルを解析することにより、粒子の有効密度や比表面積を評価することが可能です。
また、こうして得られた有効密度の値を、別途測定して得られる粒径分布データと組み合わせることで、気中ナノ粒子の質量濃度を算出できます。この方法は、例えば吸入試験での気中ナノ粒子暴露量の推定に利用できるものです。

 図1 気中ナノ粒子の多元特性評価のための実験装置の配置例

 図1 気中ナノ粒子の多元特性評価のための実験装置の配置例

図2 気中NiO粒子に対するサイズ/質量の同時分布スペクトル

図2 気中NiO粒子に対するサイズ/質量の同時分布スペクトル

10 nm以下のナノ粒子の検出技術の開発では、市販の凝縮粒子計数器の検出下限である2.5 nmよりさらに小さな粒子を安定して検出するために、乱流混合型の粒子サイズ拡大器(PSM)の開発を進めています。これまでに2 nm粒子に対して約10 %の検出効率を有する装置を開発しました。しかし、これ以上の高感度化のためには、均一(無核)核生成による装置内での粒子生成を抑制する、また長期間の運転における壁面への蒸気の凝縮を避けるなどの工夫が必要であることが明らかになってきました。そこで、図3に示すような装置を新たに設計・試作し、その計数効率を評価しているところです。
設計では、数値流体シミュレーションを用いて装置内部の温度場と速度場を計算し、均一に蒸気とナノ粒子が混合され、かつ過飽和度が中心部分近傍に局在化するような装置構造を求めました。また、凝縮性蒸気としてエチレングリコールを用い、シリンジポンプによって定量送液することで、過飽和度の厳密な調整が可能となっている他、混合部においては蒸気、エアロゾル、及びその混合物の温度がそれぞれ独立して制御できるなどの工夫がされています。

図3 新たに設計・試作したナノ粒子用粒子サイズ拡大器(PSM)

図3 新たに設計・試作したナノ粒子用粒子サイズ拡大器(PSM)