NEDOプロジェクト
ナノ粒子特性評価手法の研究開発
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研究開発項目

1. 工業ナノ粒子のキャラクタゼーション手法の開発
(1)工業ナノ粒子の調製技術の開発
ア.気中分散系調製技術開発
3. 工業ナノ粒子の有害性評価手法の開発
(2)吸入暴露試験装置の開発

実施者(所属)

島田学、奥山喜久夫、汪偉寧(広島大学大学院工学研究科)

研究目的

工業ナノ粒子の有害性評価において, in vivo吸入試験を可能とするシステムを開発するために, ナノ粒子の気中への分散技術として, 平均粒子径が100 nm前後の粒子を長時間・長期間安定に気中分散させることが可能な噴霧発生装置を設計, 製作する. さらに、気中分散させたナノ粒子を, 安定かつ効率的に生体暴露用容器に輸送する輸送系と, 気中分散ナノ粒子の粒子径分布・濃度を試験時に評価する系を構築する. これらを噴霧発生装置と組み合わせて、吸入試験用システムとして確立し, 酸化ニッケル, ナノ粒子, フラーレンナノ粒子, カーボンナノチューブのin vivo吸入暴露試験に供し, 共同で試験を実施する.

内容・成果

粒子懸濁液を, 二流体ノズルを備えた加圧ネブライザで噴霧し, 液滴乾燥系, 流量制御系などを付加することで, ナノ粒子を気中分散する装置を製作した. この装置を用いて, 本プロジェクトの「液中分散系調製技術開発」から提供された試験用工業ナノ粒子懸濁液の分散実験を行い, 懸濁液中の粒子の濃度や分散状態, 噴霧条件, 液滴の乾燥条件と, 気中分散されたナノ粒子の性状との関連を明らかにした. 得られたエアロゾル粒子の粒子径と濃度に留意, ナノ粒子の吸入試験に適した発生条件を探索した. 酸化ニッケルエアロゾル粒子とフラーレンエアロゾル粒子の走査電子顕微鏡写真を図1と図2に示す. 両粒子とも15-30 nmの大きさの一次粒子で構成されている凝集粒子であるが, 平均径としては100 nmより小さく, ナノ粒子のサイズで良好に分散されている. また, 6時間連続の安定な気中分散も可能であることがわかった.

酸化ニッケルエアロゾル粒子の走査電子顕微鏡写真

図1 酸化ニッケルエアロゾル粒子の走査電子顕微鏡写真

フラーレンエアロゾル粒子の走査電子顕微鏡写真

図2 フラーレンエアロゾル粒子の走査電子顕微鏡写真

全身暴露試験装置の模式図

図3 全身暴露試験装置の模式図

酸化ニッケルエアロゾル粒子の平均粒径と濃度の経日変化

図4 酸化ニッケルエアロゾル粒子の平均粒径と濃度の経日変化

上記の気中分散装置に加えて, エアロゾル粒子の輸送配管, インライン計測系, 捕集計測評価系を, 産業医科大学産業生態科学研究所に設置された生体暴露用容器に接続し, ラットの全身暴露試験(1日6時間、1週5日間、計4週間)を共同で実施した. 試験装置の模式図を図3に示す. 図4は, 各試験日の酸化ニッケルエアロゾル粒子の平均粒径と個数濃度である. 気中分散条件に応じて, エアロゾルナノ粒子を安定な粒子径分布, 濃度で供給できたことが確認された. 酸化ニッケルエアロゾル粒子とフラーレンエアロゾル粒子の平均粒子径はそれぞれ59, 96 nmであり, 質量濃度は0.1〜0.2 mg/m3の範囲であった。

外部発表

Shimada M, Wang WN, Okuyama K, Myojo T, Oyabu T, Morimoto Y, Tanaka I, Endoh S, Uchida K, Ehara K, Sakurai J, Yamamoto K, Nakanishi J. Development and Evaluation of an Aerosol Generation and Supplying System for Inhalation Experiments of Manufactured Nanoparticles. Environmental Science and Technology. 2009, 43, 5529?5534. 他11報告