NEDOプロジェクト
ナノ粒子特性評価手法の研究開発
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研究開発項目

1. 工業ナノ粒子のキャラクタゼーション手法の開発
(2)媒体中における工業ナノ粒子のキャラクタリゼーション手法の開発
ウ.電子顕微鏡によるナノ粒子のキャラクタリゼーション技術開発

実施者(所属)

山本和弘(産業技術総合研究所 計測フロンティア研究部門)

近年フラーレンやカーボンナノチューブといったナノカーボン粒子の工業応用が多くの分野で報告されている。これらナノカーボン材料の人に対する有害性は明らかではなく、有害性およびリスク評価が早急に求められている。透過型電子顕微鏡(TEM)はサブナノの分解能を有することからナノスケールの研究に非常に強力な技術であり、材料系および生物系の研究に広く用いられている。透過型電子顕微鏡を用いて生物細胞を観察する場合、細胞試料のコントラストを増大させるために、通常ウランや鉛などの重金属原子で試料は染色される。しかし、ナノカーボン材料を含有した生物細胞を観察する場合、染色した試料においては炭素からのコントラストが低く重金属からのバックグラウンドに埋もれてしまうために、観察は非常に困難である。

透過型電子顕微鏡における電子と試料の構成原子との相互作用を考えると、入射電子の大部分はそのまま相互作用を受けずに試料を透過するか、弾性散乱される(電子線回折)。一部の入射電子は内殻電子の励起等のさまざまな非弾性散乱散乱によりそのエネルギーを失う。試料原子の外殻との相互作用によるプラズモンロス電子や内殻電子の励起によるコアロス電子などのエネルギーを失った電子は顕微鏡像のコントラストの減少およびボケの原因となる。従ってこれらのエネルギー損失電子を取り除きエネルギー損失の無いゼロロス電子だけで結像することにより高コントラスト観察が可能となる。これはゼロロスイメージングと呼ばれ、回折コントラストと位相コントラストを増大することができる。本研究ではラットを用いたナノ粒子の有害性試験において、ナノ粒子を含有した肺組織をエネルギーフィルター透過型電子顕微鏡によりゼロロス観察を試みている。

ラットを用いたフラーレンナノ粒子のvivo実験において、透過型電子顕微鏡を用いて肺組織の観察を行った例を図に示す。肺胞マクロファージ中にフラーレンナノ粒子が観察される。

ラット肺のTEM観察