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金属特異性を考慮した包括的な生態リスク評価手法の開発

金属は水質や土壌の性質により毒性が異なり、その結果とリスクレベルもそれら性質により異なることが示唆されている。金属は環境媒体中で様々な存在形態をとることが知られている。中でも遊離イオン状態にある金属が生物にとって利用可能な状態で毒性への寄与が最も高いと考えられており、欧米においては利用可能量に基づいた新たなリスク評価手法が発展しつつある。我が国の水質や土性は欧米とは著しく異なり、生息する生物種も異なる。本研究の目的は、欧米で発展した手法を我が国に適したものにカスタマイズすることである。

水生生物については、メダカ、カブトミジンコを用いて、銅の毒性試験を行った。半数致死濃度をいくつかの調節したカルシウム、マグネシウム濃度で推定し、各生物種での毒性予測モデル(Biotic Ligand Model)のモデルパラメータを推定した。推定したモデルを用いて、影響濃度を推定したところ、予測値のほとんどが実測値の2倍〜1/2倍に含まれ、予測精度は高いことが示された。異なるカルシウム、マグネシウム濃度で試験を繰り返し、モデルの検証作業を進めるとともに、河川や湧水を野外から採水し、実環境での予測精度を検証する予定である。土壌生物では、我が国の代表的な土壌を選定し、土壌の性質とカドミウムの利用可能量の関係を調べるためのDiffusive Gradient Thin-film(DGT)試験を多数行った。土壌の性質は多数計測しており、利用可能量と最も関深い性質を特定するための統計手法を開発しつつあるところである。一方、ミミズおよびトビムシを用いた毒性試験も実施しており、半数致死濃度の推定やカドミウム応答遺伝子の発現量など基礎的なデータの収集が進みつつある。今後は、土壌と利用可能量、利用可能量と致死率、遺伝子発現量とを関連つけるモデルを開発する予定である。

研究担当者