ホーム > 研究成果 > 年報 > 2013 > 持続可能な資本主義に関する実験経済学的研究

持続可能な資本主義に関する実験経済学的研究

社会的責任投資(SRI)は急速に発展しており、欧米においては投資市場の10%以上を占めるまでになっている。SRIを中心的な存在として据える経済は「持続可能な資本主義」とも呼ばれるが、こうした投資行動を支える行動原理は、いまだ十分に解明されていていない。本研究では、経済実験の手法を用いて、SRI投資家の意思決定メカニズムを明らかにし、これまで不十分であった新たな投資市場メカニズムの理解を深め、長期的な市場の安定性を追求する役割の一端を担うことを目的とするものである。

そこで、約100名の被験者を対象とした経済実験を神戸大学にて共同研究者と実施した。本実験では、一般的な株とCSR株(CSR活動を実施している企業の株式)の二種類の株式を、54名ずつ異なる環境で売買させた。株式の売買は1期間180秒で、10期間継続して行われ、各期終了後、前期の被験者個人の投資結果が本人にのみ表示された。被験者の半分には、被験者全員のID、顔写真、CSR株保有数の情報が全員に公開される設定とした。この設定により、社会的プレッシャーを実験室に作り出し、CSR株への買い注文数、取引成立数、取引成立価格の上昇が発生するのかどうか検証した。社会的プレッシャーが存在する状況下では、CSR株への買い注文及び取引成立数の増加につながることが明らかになった。この結果は、CSR株を購入するという向社会的行為に対し、他人から賞賛されたい欲求及び、CSR株を購入しないことで他人から白眼視されることを回避したいという気持ちの現れであると考えられる。しかしながら、CSR株の取引成立価格には有意な影響を及ぼさないことがわかった。

研究担当者