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生物利用性を考慮した重金属の生態リスク評価の効率的手法の確立

研究番号:財団等助成金(公益財団法人鉄鋼環境基金)

内藤 航 

水環境における重金属の生物への取り込まれやすさ(生物利用性)は水質により変化することが知られている。日本では、近年、水生生物の保全を目的とした規制が強化されているが、その評価において生物利用性は考慮されていない。今後、日本の環境行政において、重金属の生物利用性を考慮した評価や管理のあり方が議論になることが予想されるが,日本ではその議論の材料となる基礎的な知見が限られている。本研究では、休廃止鉱山周辺の河川水を含む、水質特性(例えば硬度、有機物濃度、pH)の異なる複数の河川を対象に、薄膜拡散勾配(DGT:diffusive gradient in thin films)法によりZn、Cu、Ni、Pbの生物利用性に関する基礎的知見を得て、それらの情報を用いて、できるだけ限られた情報から水環境における重金属の生物利用性を効率的・効果的に評価できる手法を確立することを目的とした。さらに生物利用性を考慮した場合としない場合でリスクの大きさがどの程度変化するかを検討した。DGT等を用いた実測の結果、金属ごと、地点ごとに生物利用性に違いが見られた。溶存態濃度に対するDGTLabileの割合(平均的な値)は、Cuで20%程度、Pbで10%程度、Znで70%程度、Niで60%程度であった。DGT-labile金属濃度と化学平衡モデル(WHAM 7.0)より計算したダイナミック濃度(予測濃度)を比較したところ、全体的にみると、Znは良い一致、NiとCuはDGT-labile濃度が予測より低い傾向を示した。水質補正あり(生物利用性考慮あり)と水質補正なし(生物利用性考慮なし)のSSDを用いて銅と亜鉛のリスク比較を行ったところ、日本の水質条件では、リスクの大きさは低下するだけでなく、上昇する可能性もあることが示された。リスクの大きさの変化は最大で2倍程度であった。

研究担当者