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水素等の輸送貯蔵における安全ガイドラインの提案

本研究では、水素ステーションの社会受容性を向上させるために、水素ステーションのリスクを説明する際に必要な、万が一事故が起きたらどういう被害があるかを、これまでの漏洩口径を限定した被害ではなく、容器破損や配管破断などの様々な条件を想定して、被害を数値シミュレーションによって予測するとともに、それらの被害予測に対してどういう対策によって、どの程度リスクが低減されているかを明確に示す先進的なリスク評価手法の開発を目指す。加えて、アンモニアの燃焼爆発特性を明らかにし、火災、爆発被害を予測するためのデータを取得するとともに、アンモニア漏洩時の周辺住民の暴露解析および有害性評価を行う。

また、水素に関する社会受容性調査については、以下の手順で行う。まず、水素ステーション設置に関して、既存文献にもとづいて導入シナリオを複数設定する。次に、水素ステーション導入シナリオによる大気汚染物質と二酸化炭素の排出低減効果の定量的な評価をシナリオごとに行い、地域および地球環境の持続性の側面から、ヒト健康リスクと温暖化リスクの評価を行う。その上で、水素に関するリスクと便益の定量的評価結果を提供した社会受容性調査を実施して、過大視されやすいリスクイメージを変化させ、水素ステーションの安全と安心に関するリスクコミュニケーションのあり方を検討する。

今年度は、水素ステーションにおける事故シナリオの整理を行い、開口径や漏えい量でパターン化するとともに、事故シナリオのパターン毎に最悪シナリオの想定を行った。また、そのシナリオ毎のシミュレーションを行うための計算環境の整備と大学との研究連携を進めた。

安全文化評価に関しては、過去にトラブルを起こしたCNGスタンドとトラブルを起こしていないCNGスタンドを選定し、それぞれの安全文化の評価を行い、比較を行った。

また、アンモニアの燃焼爆発特性実験を安全に実施するための実験環境の整備を進めた。

アンモニアの暴露解析および有害性評価に関しては、臭気、刺激性、死亡等を生じ得るアンモニア暴露濃度を決定するとともに、毒性影響の重篤度毎のアンモニア濃度分布を推定するモデルを構築した。さらに、事故発生確率を考慮して仮想的なガソリンスタンドとアンモニアステーション間のヒト健康リスクの比較を行い、アンモニア漏洩に伴う死亡リスクは、ベンゼンの発がんリスクに比べて大きい場合があることを明らかにした。

また、水素ステーション設置の導入シナリオを設定するとともに、水素ステーション普及の優先地域を対象にステーション周辺の曝露データを構築した。また、水素ステーションの普及時における大気汚染物質と二酸化炭素の排出の増減を評価し、NO2の大きな排出低減が図られることを明らかにした。さらに、既に構築されている水素ステーションのイメージにもとづく予備調査を行い、ガソリンスタンドと比べて恐ろしさに対する認識は同等で、未知性が高いことを明らかにした。

研究担当者