ホーム > 研究成果 > 年報 > 2013 > 除染のあり方を考えるための放射性物質汚染のリスク管理に関する研究

除染のあり方を考えるための放射性物質汚染のリスク管理に関する研究

福島県で進められている除染には膨大な予算が必要であるが、どこにどれくらいの費用がかかるのか、その線量低減効果はどの程度かといった、適正な除染のあり方の検討に必要な除染の費用と効果の関係について、俯瞰的に解析した報告はなかった。そこで、福島における今後の除染方針に関する議論の土台となる情報の提供や除染等放射性物質の適正なリスク管理・対策に資する政策的な提案を行うことを目的とした問題解決指向の評価研究を開始した。さらに、放射性物質のリスク管理の意思決定において、その重要性が改めて浮き彫りになった外部被ばく線量の現実的な評価とその推定手法の開発を産総研が開発に携わった小型個人線量計(D-シャトル)を活用して実施した。GIS活用して除染の効果と費用の関係を解析した結果、除染特別地域の除染費用は1兆円超と推定され、そのうち汚染土壌などの保管費用が60%以上になると予想された。除染特別地域と除染実施区域(福島県内)の総除染費用は最大5兆円程度になると推定された。D-シャトルを活用して約30人の福島在住の住民を対象に個人の被ばく線量の計測をした結果、個人の被ばく線量の測定値は、政府の推定値(特措法推定)の30%程度であった。中通り地区の農業者を対象に調査したところ、個人の被ばく線量率は屋外で作業している時間帯が高いが、積算線量への寄与率で見ると自宅にいるときの寄与が半分程度あることがわかった。場所ごとに個人線量と空間線量の比を算出した結果、場所ごとに違いがみられた。さらに、避難している人々が除染後に帰還する場合,帰還意志を左右する因子を明確化するため,全国の居住者を対象としたオンラインアンケートを実施した。その結果、発がんリスク情報と被ばく量情報という提示方法によって帰還意志が異なり、リスク認知の因子の一つの「破滅因子」の大小が、被ばく線量の大きさそのものよりも帰還意志に影響を及ぼすことがわかった。成果の一部を産総研のホームページで公表し、成果の普及のためのワークショップを行った。

研究担当者