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セルロースナノファイバーの吸入影響評価手法を開発

【背景・経緯】

軽量で高強度、低熱膨張性等の特徴を有するセルロースナノファイバー(CNF)は、新材料として多様な用途への展開が期待されますが、社会で広く使われていくためには安全性の確認が重要です。製造関連施設等における作業環境や、スプレー等の消費者製品を勘案すると、CNFの暴露経路の一つとして可能性が高いのは、呼吸器を介した吸入暴露と考えます。気管内投与試験は、直接実験動物の気管内に液中分散した被験材料を投与し、その後の肺の炎症等を指標に吸入影響を評価する手法です。しかしながら、CNFは微生物に汚染されやすく、またチキソ性や低吸光度等の特性を有しているため、気管内投与試験を実施するには、投与するCNFの殺菌手法の開発や最適濃度の確認、肺の一部に偏在しないことなどを検証する手法開発が必要です。

 

【2019年度の取組みと成果】

CNF分散液の調製や殺菌を行った後、気管内投与器具からの射出状態の確認や投与後短期間でのラットの観察から、気管内投与が可能なCNF濃度を決定しました。また、化学染料による染色CNFの調製方法を開発し、上記の濃度で染色CNFをラット気管内に投与しました。その後、肺を酵素分解して吸光度測定した結果、CNFが肺に一様に分布することを明らかにしました。さらに、これら最適な投与手法を確立した後、3種類のCNF(リン酸エステル化CNF、TEMPO酸化CNF、機械解繊CNF)および1種類の多層カーボンナノチューブを被験材料に、これらの吸入影響評価として、ラット気管内投与後90日目までの気管支肺胞洗浄液(BALF)中の細胞数や生化学検査、および肺の病理観察を行いました。試験結果については、現在精査中ですが、今回開発した気管内投与試験手法は、CNFの吸入影響評価に適用可能であることが示唆されました。

 

【成果の意義・今後の展開】

これらの結果を「セルロースナノファイバーの有害性試験手順書」としてとりまとめ、Web上で無償公開しました(/assessment/45276/)。本手順書で示した気管内投与試験の手法や、CNFの吸入影響に関する知見は、今後CNFを取り扱う事業者の自主安全管理を支援し、CNF含有製品の開発や普及に貢献するものと考えます。

 

※ 本研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より委託された「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/CNF安全性評価手法の開発(P13006)による研究成果です。

 

図 CNF吸入影響評価手法の開発

 

 

 

研究担当者