ホーム > 研究成果 > 年報 > 国内河川の水質条件下での水生生物に対するニッケル有害性の推定

国内河川の水質条件下での水生生物に対するニッケル有害性の推定

【背景・経緯】

水生生物に対する金属類の有害性は硬度や有機炭素濃度等の水質によって変わることが知られています。欧米での金属類の生態リスク評価には、生物利用可能な金属の形態(主に遊離イオン)に着目して有害性を評価する手法が活用されていますが、日本では、金属類の生態リスク評価において、この手法は未だに活用されておりません。水質を考慮した金属類の有害性評価手法を活用する上で、国内の水環境における水質条件の違いによって金属の有害性がどの程度変動するのか等といった疑問に答える基礎的な知見が不足しています。そこで、現在、ニッケルを対象として、これらの知見に関する調査研究を行っています。

 

【2019年度の取組みと成果】

2019年度では、国内河川の水質条件に違いによってニッケルの有害性が変動するのかどうかを調べるために、ヨーロッパで開発された、水質データから水生生物に悪影響を引き起こすニッケルの濃度を推定するモデルを用いて、水道原水として使われている国内の河川水を対象に、水道水質データベースから取得した硬度と全有機炭素濃度のデータからオオミジンコの繁殖に対するニッケルの有害性値を推定しました。図は、モデルを用いて水質データから推定した、対象とした河川水においてオオミジンコの繁殖に10%の悪影響を引き起こすニッケル濃度の頻度分布を示しています。研究結果から、河川水の水質条件の違いによってニッケルの有害性が最大で約6倍程度異なる可能性が示されました。

 

【成果の意義・今後の展開】

この結果は、国内の河川におけるニッケルの有害性を評価する上で水質を考慮する必要があることを示しています。今後、硬度や有機炭素濃度等の水質が異なる非汚染の国内河川で採取した河川水にニッケルを添加してニッケルの生態影響試験を実施し、国内の水環境の水質条件に適用可能な有害性評価手法を開発する予定です。

※ この研究はニッケル生産者環境研究協会(NiPERA)の助成金により行われました。

 

図 水道原水として利用される国内河川において水質データをもとにモデルによって推定されたオオミジンコの繁殖に10%の悪影響を引き起こすニッケル濃度の頻度分布

 

研究担当者