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セルロースナノファイバー応用製品からの暴露シナリオ抽出とケーススタディ

【背景・経緯】

セルロースナノファイバー(CNF)は、バイオマス由来のナノ材料であり、木材などを物理的・化学的な処理によって微細化して得られます。軽量高強度、低熱膨張率、ガスバリア性、透明性、増粘性、チキソ性などのさまざまな特徴を持つため、自動車部材、化粧品、包装部材など多様な応用が期待されています。CNFが社会で広く使われるためには安全性の確認が重要ですがCNFの安全性情報は少ないのが現状です。そこで、産総研はCNFを製造する国内事業者と共同でNEDOの委託事業「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/CNF安全性評価手法の開発(2017~2019年度)」により、CNFの安全性評価手法の開発を行いました。

 

【2019年度の取組みと成果】

CNF応用製品を機能、部材、用途などで分類し暴露シナリオを抽出した上で、応用製品の使用時や廃棄後の暴露についてケーススタディを行いました。CNFを含有する化粧品スプレーの使用時暴露量を消費者製品暴露評価ツールを用いて推定し、スプレー方式や、クラウド(スプレー噴霧者周辺の高濃度領域)の設定により暴露量が大きく影響を受けることを示しました。またCNF応用製品の廃棄後の暴露評価にとって重要な環境中の生分解性試験を実施し、CNFが一般環境中の微生物によって分解される良分解性であることを明らかにしました。その中でリグノCNF複合材料(京都プロセスと呼ばれる製造方法により製造されるCNF強化樹脂複合材料)に含まれるアセチル化CNFも良生分解性であるとの結果を得ました。これらの結果は「主な研究成果」として産総研ホームページ1)から発信するとともに、「セルロースナノファイバー及びその応用製品の排出・暴露事例集」として当部門のホームページ2)から公開しました。

1) https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2019/nr20190808/nr20190808.html

2) /assessment/45276/

 

【成果の意義・今後の展開】

この成果は、CNFの応用製品開発における安全性評価において活用され、CNFが社会で広く使われることを促進するものと考えます。また、京都プロセスによるリグノCNF複合材料中に存在するアセチル化リグノCNFの生分解性が確認されたことは、生分解性でありながら高強度を有する生分解性プラスチック複合材料の開発に道をひらくものです(図)。

※ NEDOプロジェクト「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/CNF安全性評価手法の開発(2017~2019年度)」によって研究を実施しました。

 

図 アセチル化リグノCNFで補強された生分解性プラスチックのイメージ

 

 

研究担当者