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セルロースナノファイバーの排出・暴露評価

【背景・経緯】

セルロースナノファイバー(CNF)は、高機械的強度、低熱膨張率、ガスバリア性、透明性、増粘性、チキソ性等の性質を持ち、高強度材料や高機能材料、各種添加剤として、様々な用途への応用が期待されています。一方、新しい材料が社会で使われていくためには、その安全性にも注意を払う必要があります。このような背景のもと、(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託事業「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/CNF安全性評価手法の開発(2017~2019年度)」では、CNFの安全性評価手法の開発を行ってきました。ここでは、その中の一テーマであるCNFの排出・暴露評価の成果についてご紹介します。

 

 

【2019年度の取組みと成果】

CNF複合材の製造・加工・摩耗・劣化時におけるCNFの排出・暴露を評価するために、現場調査や模擬排出試験を行いました。CNF複合材の製造現場における混練とペレット化の際のエアロゾル濃度は、既存の粉塵やナノ材料の許容濃度と比較しても十分に低いレベルでした。また、CNF複合材の切削や摩耗時の飛散粒子濃度はCNF含有の有無でほとんど変わらず、電子顕微鏡観察においてもCNFと見られる繊維状の粒子は観察されず、飛散粒子のほとんどは樹脂そのものの塊、または樹脂とCNFの混合物の塊でした。劣化試料の摩耗試験においても同様でした。CNFは母材である樹脂と強固に結合した状態であり、CNF単体としての排出・暴露は限定的であると考えられました。

これらの成果は、「セルロースナノファイバー及びその応用製品の排出・暴露評価事例集」としてとりまとめて、(国研)産業技術総合研究所のWEBページ(/assessment/45276/)で公開しました。

 

【成果の意義・今後の展開】

公開した事例集は、事業者が安全性評価や安全管理を行う上で参考になるものと考えています。今後、CNFの実用化に伴い、CNFの応用分野は広がっていくと予想されることから、引き続き、CNFの排出・暴露に関する手法の開発や評価事例の集積を進め、事業者の安全管理や、CNFの開発・普及の促進に貢献できればと考えています。

 

 

※ この成果は、(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)委託事業「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発/CNF安全性評価手法の開発(2017~2019年度)」により得られたものです。

 

図 CNFの排出・暴露評価の概要

研究担当者