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リスク情報を提示した水素ステーションの社会受容性調査

【背景・経緯】

水素社会に向け燃料電池車(FCV)が広く普及するには、FCVに水素を充填する社会インフラである、水素ステーションの導入が不可欠です。水素ステーションは市街地に建設されるため、住民からは水素に関する爆発・燃焼の懸念が持たれる可能性があり、新しく導入する際には住民等のステークホルダーに対して説明が不可欠です。水素ステーションにかかわるリスク情報を一般市民に提示した場合、その受容性やリスクイメージがどの程度、どのように、変化するのかを明らかにすることは、水素ステーションに関する情報提供やリスクコミュニケーションのあり方を検討するうえで重要です。このような背景から、リスク情報を提示した社会受容性調査を実施しました。

 

【2019年度の取組みと成果】

調査の結果は以下の通りです。家の隣に水素ステーションが新しく建つことを想定して答えてもらった場合におけるリスクの数値を提示した群(図a左。図中、「数値」)において受容性が高まり、リスクの数値に加えてリスクが一般的に受け入れられる目安の数値を提示した群(図中、「数値+目安」)のほうが、受容性がより高まりました。自分の家の隣に建つ場合、恐ろしさは具体的にどの程度なのか?と考える回答者が多かったと解釈できます。一方で、最寄りのガソリンスタンドに水素ステーションが併設されることを想定した場合では(図b左)、リスク情報提供の有無によって受容する割合は増加しませんでした。また、ステーションの安全対策情報の提供の有無によって受容する割合は増加しませんでした(図a、b右)。

これらより、事業者が水素ステーション建設時に水素ステーションが隣接する地区の住民に説明する場合は、リスク情報というネガティブな情報であっても提示し、説明することで理解が得られやすくなると言えます。

 

【成果の意義・今後の展開】

この成果を事業者が情報提供の場で活用することによって、住民や利害関係者とより円滑なコミュニケーションがとれ、信頼関係が作られると期待されます。

本成果の詳細は「水素ステーションとその周辺のリスク評価書」「エネルギーキャリアのリスク認知特性および社会受容性に関するデータ集」として公開しております(安全科学研究部門WEB:/assessment/44520/ よりダウンロード可能)。

 

 

※ 本研究は、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「エネルギーキャリアに関するステーションとその周辺に対するリスク評価手法開発と社会受容性調査」により行われたものです。

図 情報の有無に対する水素ステーションの受容性の関係

 

回答者には「燃料電池車を持っておらず、当面買う予定もない」との前提で回答してもらった。

*:「問題ない」と答えた割合には、「どちらかと言えば問題でない」との回答を含む。

#:有意水準10%で有意差あり。

 

研究担当者