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Mixture Touch:混合物を知り、リスク評価するためのWebプラットフォーム

【背景・経緯】

我々の身の回りの製品や産業用途の製品には、特性付与などのため多くの量・種類の化学物質が利用されています。それに付随し、環境中を巡る化学物質の種類や量も増加しています。

しかし現状では化学物質のリスク評価は、注目される個別物質のみに対し行われ、製品や環境中の全ての化学物質についてリスク評価及び対策立案がされているわけではありません。一方で、例えば欧州のREACH 規制では混合物の上市において成分情報開示やリスク評価実施が課されるなど、混合物についての評価の要求が高まりつつあります。

こうした状況から、混合物の中身を把握でき、その中身について簡便にリスク評価が出来るような基盤が必要であると考え、本研究で混合物に関するプラットフォームの構築に取組みました。

 

【2019年度の取組みと成果】

混合物リスク評価のため、ウェブ上で混合物分析データを表示・解析できるプラットフォームMixture Touchを構築しました(図)。

分析装置には混合物成分を網羅的に捉えられる2次元GC-質量分析計(GC×GC-MS)を選定しました。Mixture Touchを利用する事で、この最先端装置を有していないユーザーもそのデータを閲覧し、検出成分の物性を計算でき、その結果からスクポテンシャルを把握できます。例えば、5 < log Kow < 7かつ-4 < log Kaw < -1の範囲の物性を示す物質は水生生物蓄積能があります。この範囲をデータ上にマッピングし、生物に蓄積しやすい成分を提示できます。現状では適用範囲は非極性物質に限られますが、混合物を簡便に評価できます。Mixture Touchは下記から無料で利用可能です。

Mixture Touch: /softwares/43853/

計算の仕組みや使い方の詳細については、下記の文献をご参照ください。

1) Zushi, Y., Yamatori, Y., Nagata, J., Nabi, D., Comprehensive two-dimensional gas-chromatography-based property estimation to assess the fate and behavior of complex mixtures: A case study of vehicle engine oil. Sci. Total Environ. , 669, 739–745, 2019.

2) Zushi, Y., Hanari, N., Nabi D., Lin, B., Mixture Touch: A Web Platform for the Evaluation of Complex Chemical Mixtures. ACS Omega, 5, 8121–8126, 2020.

 

【成果の意義・今後の展開】

混合物に含まれる物質の数や量を把握しながらこれをリスク評価する簡便なアプローチを提示できました。今後は搭載する混合物データ及び機能拡充や異なる分析装置への対応に取組みます。

 

 

※ 本研究はJSPS科研費15H05340,19H04297の助成を受けたものです。

 

 

図 混合物WebプラットフォームMixture Touch

研究担当者

  • 頭士 泰之
  • 林 彬勒
  • 羽成修康(産総研 物質計測標準研究部門)
  • Deedar NABI(College of Health Sciences, Jumeira University)