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国際的合意形成に基づいたLCAにおける鉱物資源消費の環境影響評価モデルの開発

【背景・経緯】

ライフサイクルアセスメント(LCA)においては、これまで多くの開発者により様々な環境影響評価モデルが開発されてきました。これらのモデルには評価する範囲やモデリングアプローチによって独自の特徴があり、実務においてユーザーとしてはどのモデルを選択すべきか判断に困ることがあります。そのため、2013年にステークホルダーによる合意形成に基づいたモデル開発のための国際協調プロジェクト(GLAM)が立ち上げられ、我々はプロジェクト初期から参画し、合意形成に基づいたモデル開発を行ってきました。これまで水資源消費に関する合意形成に基づいたモデルを開発し、ガイダンス文書1や学術誌に論文2として発表しています。

 

【2019年度の取組みと成果】

鉱物資源消費に伴う影響として、我々は世界の様々な専門家やステークホルダー(学術界、産業界、コンサルタントおよび政府関係者)とともに既存手法のレビューと数多くの議論を通して、鉱物資源利用に関わる影響のメカニズムを整理しました。鉱物資源利用に伴う影響メカニズムに対応して、鉱物資源利用によるどんな影響を評価したいのかという問いを明らかにし、それに応じた既存手法の対応関係を整理しました。評価を行う影響の種類に応じて既存モデルを評価し、各問いに対して推奨できるモデルとそのレベルを合意形成に基づいて決定しました。鉱物資源利用の影響は複雑ですが、今回の合意形成では鉱物資源利用に関わる影響を7つに分類し、その影響ごとに望ましいモデルを推奨しています。これにより、ユーザーは自身の評価の目的に合わせて適切なモデル選択が容易になると期待されます。その成果はGLAMプロジェクトのガイダンス文書3および学術誌で論文4,5として公表しています。

 

【成果の意義・今後の展開】

製品や事業活動の評価にLCAを利用する際に、影響評価手法が乱立する状況は実務の方にとっては判断に困る状況でしたが、国際的な合意形成に基づいて推奨モデルを公表することで、こうしたLCAの実務上での課題を解消することが出来ます。GLAMプロジェクトは今年から第3期をスタートしており、エンドポイントレベルでのモデル開発や正規化・統合化(重み付け)に関する合意形成を目指しています。これからも国際的合意形成を通じて産業界におけるLCAの活用がより一層進めやすくなるよう貢献していきます。

 

参照情報

  1. Global Guidance for Life Cycle Impact Assessment Indicators Volume 1, the UN Environment, https://www.lifecycleinitiative.org/training-resources/global-guidance-lcia-indicators-v-1/
  2. Boulay et al. The WULCA consensus characterization model for water scarcity footprints: assessing impacts of water consumption based on available water remaining (AWARE). Int. J Life Cycle Assess. 23, 368-378, 2018. https://doi.org/10.1007/s11367-017-1333-8
  3. Global Guidance for Life Cycle Impact Assessment Indicators Volume 2, the UN Environment, https://www.lifecycleinitiative.org/training-resources/global-guidance-for-life-cycle-impact-assessment-indicators-volume-2/
  4. Sonderegger et al. Mineral resources in life cycle impact assessment—part I: a critical review of existing methods. Int. J Life Cycle Assess. 25, 784-797, 2020. https://doi.org/10.1007/s11367-020-01736-6
  5. Berger et al. Mineral resources in life cycle impact assessment: part II–recommendations on application-dependent use of existing methods and on future method development needs. Int. J Life Cycle Assess. 25, 798-813, 2020. https://doi.org/10.1007/s11367-020-01737-5

図 影響評価モデルに関する合意形成についての成果がまとめられたガイダンス文書(国連環境計画発行):Volume 1 (2015)およびVolume 2 (2019)

 

研究担当者