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リチウムイオン電池の熱暴走に関する安全性評価

【背景・経緯】

近年、リチウムイオン電池(LIB)の高性能化・高容量化などが進み、電気自動車、次世代モビリティー、モバイル機器等への用途がますます拡大しています。しかしながら、これら用途の拡大やエネルギー密度の増加とともに、発火・爆発の事故件数も増えています。そこで本研究では、LIBの外部環境温度が上昇し、反応暴走を起こした場合について検討しています。安全性評価の項目として、電池の温度上昇と圧力上昇を実験で測定し、反応生成ガスの生成量およびガス組成を把握する手法を確立することを目的としました。

 

【2019年度の取組みと成果】

実験には、火薬の爆発実験用に使用している20L密閉容器をLIB用に改良して用いました。この密閉容器内に、LIBと加熱用ヒーターを導入し、LIBを加熱し、端子間電圧、内部圧力、温度をモニターしながら反応暴走時の挙動の観察を行いました。図に温度および圧力曲線を示しました。更に発生ガスを採取し、ガス組成の分析を行いました。SOC(State of Charge)が0%と95%の比較も行いました。その結果、以下の知見が得られました。(1)反応暴走時には、電池温度は、~1200℃ (SOC 95%)および~600℃ (SOC 0%)に到達しました。(2)反応暴走時のガス発生量は、141〜152L(SOC 95%), 72L(SOC 0%)で、満充電時のガス発生と高温には注意が必要であることがわかりました。(3)反応暴走後の発生ガスは、一酸化炭素26〜28%、二酸化炭素8〜34%、水素~15%、炭化水素26〜50%を含むため、CO中毒、バックドラフト、フラッシュオーバー等への注意が必要であることもわかりました。

 

【成果の意義・今後の展開】

LIB暴走時のガス発生量とガス組成をあらかじめ把握しておけば、防護対策の検討や安全性試験用密閉容器の設計に利用することが可能です。実験手法をノウハウにまとめ、技術移転が可能となりました。今後、多くの企業への利用が期待されます。さらに、リチウムイオン電池のみならず、次世代蓄電池の安全性評価への利用が期待されます。

 


図 リチウムイオン電池暴走時の温度および圧力曲線

研究担当者