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管内に堆積したガラス粒子による爆風低減機構の解明

【背景・経緯】

火薬類の爆発によって発生する爆風は構造物や住民に甚大な被害をもたらす可能性があるため、被害低減を目指した様々な研究が行われています。2018年度までに行った実験では、正方形断面形状の直管モデルにガラス粒子を堆積した条件で火薬類を起爆した結果、ガラス粒子によって爆風が数十%低減できることが明らかになりました(1)。爆発によって発生した高温・高圧ガスとガラス粒子が干渉することで爆風が低減できていますが、その時間は非常に短く(μs~ms程度)実験のみで定量的な爆風低減機構を理解することが困難な高速現象と言えます。そこで、本研究では数値解析を活用することでガラス粒子による爆風低減機構の検討を行いました。

 

【2019年度の取組みと成果】

これまでに産総研で開発していた、爆風影響を検討できる数値流体力学プログラムに粒子を取り扱う手法(2)を追加し、上述の実験を再現する数値解析を行いました。その結果、実験で得られた最大過圧分布を精度良く評価できることを確認しました。爆風の強さは火薬類が放出したエネルギーに強く依存することから、空気/ガラス粒子間で生じるエネルギー吸収量を定量的に評価して爆風低減機構を検討しました。その結果、エネルギー吸収量に相当する爆風低減が達成できることがわかり、熱伝達が支配的であることが分かりました(図)。管内で発生した爆風は堆積粒子の上を伝播する際、爆風によって空気は加熱されます。高温空気/常温堆積粒子間の熱伝達によって火薬類が放出したエネルギーの数十%を堆積粒子が吸収できることがわかりました。熱伝達は粒子表面で起きる現象です。粒子1個の表面積は非常に小さいですが、それを大量に使用して表面積を大きくし、爆風と干渉させることが重要であると考えられます。

 

【成果の意義・今後の展開】

数値解析によって堆積粒子による爆風低減機構を定量的に検討し、粒子表面で生じる現象が重要であり熱伝達が重要であることがわかりました。今後、国際誌への成果発表を進めていきたいと思います。また粒状物質以外にも、様々な緩衝材料を取り扱うことができるように数値流体力学プログラムを発展させ、基礎研究として爆風低減機構の解明を進め、その結果を踏まえて爆風影響低減化技術の開発に活用していきたいと思います。

 

※ 本研究はJSPS科研費JP18K04643の助成を受けたものです。

参考文献
(1) Homae, T., Shimura, K., Sugiyama, Y., Wakabayashi, K., Matsumura, T., and Nakayama, Y., Sci. Tech. Energetic. Mater., submitted (2020).
(2) Saurel, R., Le Martelot, S., Tosello, R., and Lapébie, E., Phys. Fluids, 26 (2014), 123304.

 


図 管内の堆積粒子上を伝播する爆風による高温空気/常温堆積粒子間の熱伝達

研究担当者