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岩石の動的引張ひずみ分布の可視化技術の開発

【背景・経緯】

国内の採掘鉱山では火薬類の爆発を利用した発破が行われています。近年は効率向上を目指した大規模発破や、宅地開発による一般住宅との接近のため、特に露天掘り鉱山では発破で岩盤の一部が遠方まで飛んでしまう飛石や、地盤振動、発破音の発生など環境問題が顕在化しており、安全操業の強化が求められています。

一方、1960年代の高度経済成長期に建設・整備されたインフラの老朽化に伴う建替え・改修工事のため、費用削減や工期短縮の観点から構造物の取壊しや部分解体等に発破技術を適用する試みが注目されています。

安全、新規技術開発の双方の観点から岩石の破壊現象の把握が重要であり、現象解明にむけた研究として衝撃荷重下での岩石材料の動的な応答と破壊強度の評価を進めています。

 

【2019年度の取組みと成果】

一般に材料の破壊には様々な形態がありその分類方法も様々ですが、発破に伴う岩石の破壊は衝撃荷重下での材料の動的な応答と破壊強度を評価することになります。

本研究では、デジタル画像相関(DIC:Digital Image Correlation)法といわれる物体表面の変形やゆがみを光学的に全視野(視野的な全範囲)で評価する手法を岩石材料の動的破壊挙動の解析に適用し、衝撃荷重下での材料の変形挙動をひずみ分布として可視化する研究を行いました。岩石の爆発衝撃荷重下での高速な動的破壊過程を捉えるため、毎秒100万〜1000万コマという超高速度撮影が可能なカメラを利用して爆薬による岩石試料の破壊過程を撮影し、DIC法解析により試料表面の三次元的な変位解析を試みました。解析結果、視野内でのひずみ分布を時間履歴として取得することが可能になりました(図1左)。また従来のひずみセンサ式の計測方法では困難だった視野内の任意の位置でのひずみを試験後に抽出することが可能になりました(図1右)。

 

【成果の意義・今後の展開】

上記取組みにより、破壊の発生と進展において試料表面のひずみ分布状態や分布変化の様子を柔軟に解析できるようになり、動的破壊メカニズムの解明にむけ研究が大きく前進しました。

本研究で重要な知見が得られるようになりましたが、動的な応力ひずみ関係や破壊挙動は未だ解明すべき課題が多く、今後も引き続き研究を推進していきます。

 

 

※ 本研究の一部は、(一財)日本鉱業振興会の平成31年度試験研究所助成により遂行されたものです。ここに感謝の意を表します。

図1 DIC法によるひずみ分布解析例(左:分布図、右:ライン抽出プロファイル)

 

研究担当者