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水素導管の大規模損傷リスク評価

【背景・経緯】

水素をパイプラインにより輸送し一般需要家へ供給する水素導管供給システムが検討されています。このシステムでは大量の水素ガスを取り扱うため、その安全な運用のためには、様々な観点からリスク評価を行い、安全のための対策を講じることが必要です。その取り組みの一環として、災害等により導管が損傷することを想定し、その場合の危険性を評価するための調査を行ってきました。2015から2018年度までの調査では、導管の損傷により大気に放出された水素に火が付いた場合の危険性を、野外爆発実験により評価し、爆風等の被害が到達する範囲を整理してきました。

 

【2019年度の取組みと成果】

2018年度までの調査の過程で、導管が損傷して水素が漏えいした場合に水素の供給を停止すると、導管内に火が侵入して長時間持続することや、大気が混入し爆発性の気体が管内に充満する可能性があることが分かりました。そこで2019年度はこの現象の危険性を評価するために、導管が損傷した後に水素の供給を停止し、火炎の持続性や大気が混入する現象を実験的に調査しました。水素漏えい時に火が付いた場合は、水素の供給を停止しても火炎が長時間持続することが明らかになりました。損傷の形態によっては火炎が管内を遡るように伝播する現象も見られました。さらに、漏えいした水素に火が付かない場合でも、水素の供給を停止すると大気が管内に混入し、管内に大容量の可燃性の混合気が形成される危険性も明らかになりました。

 

【成果の意義・今後の展開】

これらの結果は事故時の対応における潜在的な危険性を明らかにしたものです。2018年度までの調査結果と合わせ、必ずしも水素の安全性検討を網羅するものではありませんが、リスクの把握とその対策の検討に貢献するものです。

 

 

※ 本調査研究は経済産業省令和元年度新エネルギー等の保安規制高度化事業(水素導管供給システムの安全性評価事業(水素導管の大規模損傷リスク評価))により実施されました。

図 実験に用いた水素導管

 

 

研究担当者