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NCV導入によるCO2削減効果の将来予想

【背景・経緯】

エネルギー問題や地球温暖化対策の観点から、自動車用エネルギーの多様化やCO2排出削減に向けた電気自動車(EV)などの次世代自動車開発が進められています。車体の軽量化は、次世代自動車の燃費(電費)向上をもたらすため、今後さらに必要とされる技術開発です。Cellulose Nanofiber (CNF) は、軽量で高い強度や弾性を持つ植物由来の素材であり、様々な基盤素材への活用に向けた開発が精力的に進められています。CNFを自動車部材として使用し、車両軽量化による燃費改善を達成できれば、地球温暖化対策だけでなく、森林資源活用による循環型社会実現への貢献も期待できます。CNF複合材料の自動車部材への適用可能性をもとに軽量化シナリオを作成し、NCV (Nano Cellulose Vehicle) 導入によるCO2削減効果を評価しました。

 

【2019年度の取組みと成果】

CNF複合材料の自動車部材への適用可能性に関するヒアリング結果をもとに、内外装部材をCNF活用部材へと最大限置換すると仮定して、2020年時点での技術レベル(2030年までの社会実装)と2030年時点での技術レベル(2050年までの社会実装)に基づいた、NCVの軽量化シナリオをフォアキャスティングにより作成しました。軽量化シナリオから、ガソリン車(GV)、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、EVについて、CNF部材を適用した車両一台あたりのライフサイクルCO2排出量を試算したところ、GVだけでなくEVなどの次世代自動車においても、CNF部材の適用によりライフサイクルでのCO2排出量が削減されることが示されました。このことから、NCVの導入により、EVへのシフトによるCO2排出量削減への相乗効果が期待できます。また、NCV普及シナリオから推定される将来の波及導入数を乗じることにより、2030年時点での日本国内における乗用車からのCO2排出削減総量を算出しました。

 

【成果の意義・今後の展開】

CNF複合材料を自動車部材として利用することにより、その優れた物性等とともに、環境面においてもCO2削減技術として有望であることが確認できました。今後は、CNF材料を持続可能な社会システムで活用していくために、温室効果ガスが削減可能であることを前提とした上で、土地利用や水資源消費などの他の環境面や社会経済面を評価することを目指しています。

※ 本研究は環境省プロジェクト「セルロースナノファイバー活用製品の性能評価事業委託業務(社会実装に向けたCNF材料の導入実証・評価・検証~自動車分野~)」の中で実施されました。

 

図 NCV導入による将来CO2排出削減量の試算

研究担当者