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ナノ材料の吸入毒性のスクリーニング試験方法【書籍刊行】

【背景・経緯】

ナノ材料は、サイズが100 nm以下の微細な粒子状や繊維状の材料です。新たな材料特性への期待が大きい一方で、多種多様なものがあることから効率的な安全性確認が求められています。吸入毒性(吸入した時に現れる毒性)の試験方法の一つである「気管内投与試験」は、ナノ材料のエアロゾルを吸入させる代わりに、分散液を調製して動物の気管に投与するものです。動物を用いた信頼性が高い試験でありながら、費用や施設・設備の制約が少ない、優れたスクリーニング試験です。
この試験方法に関する検討のため、安全科学研究部門では、2011〜2015年度にかけて、他研究機関や大学と共同で経済産業省プロジェクト「ナノ材料の安全・安心確保のための国際先導的安全性評価技術の開発」を実施しました。

 

【2019年度の取組みと成果】

プロジェクト終盤から、研究プロジェクトの研究成果を盛り込んだ書籍(洋書)を刊行すべく企画・編集を進めてきましたが、2019年8月にSpringer社より「In Vivo Inhalation Toxicity Screening Methods for Manufactured Nanomaterials(ナノ材料の吸入毒性in Vivo(動物を用いた)スクリーニング試験方法)」の刊行に至りました。
本書は、ナノ材料の吸入毒性に関するin vivoスクリーニング吸入毒性試験についてまとめたもので、気管内投与試験と短期吸入暴露試験という二つの試験方法をとりあげています。第1章は、スクリーニング試験の役割に関する総論です。この章の執筆には私も共著者として係わりました。パートI(第2章〜第4章)は、短期吸入暴露試験に関して、ドイツ、韓国、アメリカの研究者に執筆を依頼しました。この試験方法は、エアロゾルを吸入させる方法ですが、試験期間短縮と動物数節約の工夫が特徴です。また、パートII(第5章〜第11章)は、気管内投与試験に関して、我々の研究プロジェクトメンバーを中心とした国内研究者により執筆されています。

 

【成果の意義・今後の展開】

短期吸入暴露試験や気管内投与試験といったスクリーニング試験方法は、学術研究でしばしば用いられるものの、テストガイドラインが存在せず、適当な解説書もありませんでした。本書の刊行は、ナノ材料の吸入毒性に関するスクリーニング試験の方法について広く知らしめることにより、事業者による自主安全管理を支援し、ナノ材料のイノベーション推進に寄与するものと期待しています。


図 In Vivo Inhalation Toxicity Screening Methods for Manufactured Nanomaterialsの表紙

武林亨(慶應大学)・Robert Landsiedel(BASF SE)・蒲生昌志(産総研)編
Springer社、2019年8月
https://www.springer.com/us/book/9789811384325

研究担当者