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爆破テロ災害を防止するための安全研究

【背景・経緯】

世界中で爆発物によるテロ災害が起きています。日本は幸いにも大きな災害は起こっていません。しかし、2020年に予定されていたオリンピックに向けて、万一、爆破テロ災害が起きた時に十分な対策ができるような準備が必要です。現状では国内で爆発物を取り扱える公的機関は産総研以外にはなく、消防などの救助活動に携わる方は体験したこともないものに対応せざるを得ない状況でした。このため、筆者は2018年9月25日より、東京消防庁と共同研究「爆発性物質の爆発威力に関する研究」を開始し、爆発物を体験して頂きながら、対策を考える資料を作り始めました。また、2019年度に向けて消防庁の消防防災科学技術研究推進制度に応募しました。

 

【2019年度の取組みと成果】

上記の制度で応募した「爆発性物質の爆発威力等に関する研究」は採択され、東京消防庁消防安全技術所との研究交流は本格化しました。現在までに手製爆弾(IED)の威力評価、防火服の防弾性能評価、防火具を付けた状態での人の各部(頭、心臓、顔など)が受ける被害予測などが実際の実験で明らかになってきました。
また、共同研究とは別に数多くの情報発信を行っています。4月と9月の2回、NBCR対策推進機構が開催した爆発物災害担当者養成講習会で講師を務めました。2020年2月18日、横浜市消防訓練センターにて消防隊員向けに爆発災害の講義を行いました。2月28日には一般財団法人航空保安事業センターが主催する教育担当責任者特別研修を産総研つくばセンターにて行い、講演するとともに見学会も開きました。
さらに、東京化学同人の雑誌「現代化学」にて爆破テロを意識した連載「爆発の化学と安全対策」をお願いされ、10月号から現在までに10報、掲載されています。

 

【成果の意義・今後の展開】

爆破災害は日本でいつ、起こるかわかりません。しかし、これまでに起きていないため、その対策は諸外国に比べ、遅れています。今後とも東京消防庁と連携し、爆破テロにおける問題点を抽出し、問題解決のための施策を検討していきます。また、爆破災害に関わる消防隊員向けの講習を産総研で継続的に行えるような連携についても検討していきたいと考えています。

※ 本研究の一部は総務省消防防災科学技術研究推進制度JPJ000255 の委託を受けたものです。

 

 

 


図 手製爆弾(IED)の試作と飛散物速度計測

研究担当者