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プロパンを冷媒に用いた家庭用空調機等の実規模安全性評価

【背景・経緯】
現在、家庭用エアコン等に用いられているノンフロン冷媒は、オゾン層破壊の原因にはなりませんが地球温暖化効果が大きいため、より地球温暖化効果の小さい次世代冷媒が求められています。自然冷媒の一つとして期待されているプロパンは、大気に放出された場合でも自然分解され地球温暖化効果が小さいものの、燃料として用いられるほど燃焼性が高いため、冷媒として使用するためには充填量を制限したり適切な漏洩対策をとる必要があります。この研究ではこれまで4畳半の模擬室を用いた実規模実験を行い、気流の小さい室内で漏洩が起こった場合にも漏洩終了後はプロパンの可燃濃度域が消滅する最大許容充填量を確認するとともに、漏洩中に着火が起こった場合の燃焼爆発影響を評価しました。

【2019年度の取組みと成果】
2019年度は、4畳半及び9畳の模擬室内に設置した実際の家庭用エアコン室内機の内部からプロパンを漏洩させ、プロパン濃度分布時間履歴を計測する実規模漏洩拡散挙動観測実験により、室内機に内蔵された送風ファン等より強制的に気流を起こすことを前提に適用される可能性がある、より緩和された充填量のプロパンが漏洩した場合の安全性を確認しました。この充填量が気流の小さい室内に漏洩した場合には、床面付近に1時間以上にわたり可燃濃度域が形成され続けますが(図a)、エアコンの送風運転により可燃濃度域が形成されなくなります(図c)。
また、冷媒としてプロパンを用いることのリスク評価を行うための頻度評価の基礎データとして、プロパンが漏洩し可燃濃度域が形成された場合に、その可燃域に存在する可能性がある機器類が燃焼の着火源になるか否かを、最も着火が起こりやすいと報告されている5.2 %のプロパン-空気予混合気中で、レーザープリンター、電気掃除機、ヘアードライヤーを遠隔操作することで評価しました。

【成果の意義・今後の展開】
2020年度は、家庭用エアコンに加えて冷蔵ショーケースでの漏洩拡散挙動を観測し、それぞれの実験で観測された濃度分布から、着火が起こった場合に危害が生じると予想される条件について実規模燃焼実験を行い、その燃焼爆発影響を評価します。また電動ドリルや調理用ホットプレート等が着火源となるか否かの評価を行います。これらの評価結果は国内安全基準の策定や国際規格化・標準化のために用いられます。

※ この研究成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業である「高効率低GWP冷媒を使用した中小型空調機器技術の開発」の研究テーマ「自然冷媒を用いた中小型家庭用室内空調機の実寸大フィジカルハザード評価」で得られた成果です。

 
 

図 9畳の模擬室内で観測されたプロパン濃度の時間履歴

研究担当者