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平成24年度 安全科学研究部門

 

本研究部門は、事故や災害の被害予測、技術や製品の健康・環境・経済への影響評価など、幅広い分野にわたる評価技術を総合し、科学的な評価のみならず、社会的な評価も同時に行う、総合的なリスク評価・管理手法を開発することを通じて、安全で持続的発展可能な社会の実現に貢献することを目標としている。このため、これまでに高い評価を受けてきた化学物質リスク評価、フィジカルハザード評価、ライフサイクルアナリシス等、個別の評価手法を融合させ、学際的な融合研究を推進して、安全と持続可能性を同時に追求する「安全科学」の確立を目指している。現在、リスク評価戦略、環境暴露モデリング、物質循環・排出解析、持続可能性ガバナンス、爆発衝撃研究、高エネルギー物質研究、爆発利用・産業保安研究、素材エネルギー研究および社会とLCA 研究の9グループで研究開発を行っている。本研究部門は、環境・安全対策の最適ソリューションを提供し、新規技術に係る評価を行うことを目的として、以下のミッションを掲げている。ミッション1:従来の枠にとらわれない学際的な融合研究を推進し、環境リスクや産業・災害リスク、社会システムの持続可能性を評価する手法及びツールを開発する。また、複数の拮抗するリスク(温暖化、資源、生態系、人健康などの間のリスクトレードオフ)の最適化を図るための手法を開発する。ミッション2:信頼性の高いデータ、使い易い評価ツールを提供し、評価結果を公表するとともに、市民や産業、行政が評価結果を活用できるよう支援する。ミッション3:評価結果に基づく政策提言や、評価手法の国際標準化などへの取り組みを通じて、産業の国際競争力の強化に貢献する。これらのミッションに対応して、平成24年度は、本研究部門のプレゼンスを示す具体的な戦略課題として1)~4)を選定し、融合研究を実施した。

1) 新規技術体系のリスク評価・管理手法の研究

平成24年度は、効率的な有害性評価手法の開発として二酸化チタンナノ材料の体内動態の解析を行うとともに、事業者の自主安全管理技術の開発として、培養細胞試験による有害性評価方法及び作業環境での計測手法に関して手順書を作成した。また、長繊維カーボンナノチーブの有害性評価に関する研究を実施した。

2) フィジカルハザード評価と産業保安に関する研究

火薬類等の高エネルギー物質や高圧ガスが関与する災害を防止するために、水などによる爆発影響低減手法の検討や高圧ガスの漏えい拡散挙動や着火燃焼実験などのハザード評価に関する研究、発熱分解エネルギー測定法のJIS 制定などの標準化や、爆発被害予測のための爆源近傍の爆轟生成ガスの状態方程式の提案などの爆発性物質の発火・爆発危険性の解明、産業保安力向上のためのリレーショナル化学災害データベース(RISCAD)の継続的な運用などの広範囲な研究を行った。

3) リスクトレードオフ評価・管理手法の研究

4用途群のリスクトレードオフ評価書及び暴露モデル、ガイダンス文書等の成果を部門ウェブサイトで公開した。また、シンポジウム開催やOECD 暴露評価タスクフォースでの発表など、国内外への成果発信に努めた。さらに、アジア大の暴露解析プロトタイプモデルを作成し、中国の不法リサイクル集積地区における鉛の簡易的な暴露評価を行い、大気、河川水、底質で良好な検証結果を得た。

4) 新規社会システムのライフサイクル評価手法の研究

社会システムの個々の構成要素と環境問題の関係だけでなく、システム全体が与えうる新しい影響領域を評価する手法の検討として、評価の基礎となる研 究(100)環境負荷原単位データベースIDEA の拡充、水資源消費、土地利用、希少鉱物資源の消費など新たな影響領域の評価手法開発、また、社会における金属資源利用を議論するための素材/資源フロー解析を実施した。

外部資金:

  • 経済産業省 受託研究費「平成24年度環境対応技術開発等(室内環境における消費者製品に含まれる化学物質の管理手法の開発)」
  • 経済産業省 受託研究費「平成24年度産業技術研究開発(低炭素社会を実現する超軽量・高強度革新的融合材料プロジェクト(NEDO 交付金以外分)ナノ材料の安
  • 全・安心確保のための国際先導的安全性評価技術の開発」
  • 経済産業省 原子力安全・保安院 受託研究費「平成24年度水素ネットワーク構築導管保安技術調査(水素拡散挙動調査)」
  • 経済産業省 原子力安全・保安院 受託研究費「平成24年度石油精製業保安対策事業(高圧ガスの危険性評価のための調査研究)」
  • 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 受託研究費「新エネルギー技術研究開発/バイオマスエネ
  • ルギー等高効率転換技術開発(先導技術開発)/総合調査研究」
  • 独立行政法人科学技術振興機構 受託研究費「複雑化する世界におけるNatech(自然災害と技術の相互作用)
  • リスクの低減に関する学際的研究:日本の経験から学び、iNTeg-Risk プロジェクト・NaTech 分野の手法を応用
  • 財団法人福岡県産業・科学技術振興財団 受託研究費「IST 産学官事業「次世代自動車用エアバッグシステムの開発」」
  • 公益財団法人LIXIL 住生活財団 研究助成金「フタル酸エステル類への経皮曝露評価 ~皮膚透過性試験法の確立と応用~」
  • 財団法人科学技術融合振興財団 研究助成金「原発等の複雑システムの安全性向上を目的とする「工学システム」と「人・組織システム」の複合体の挙動に関するゲーム理論を基礎としたシミュレータの開発」
  • 財団法人前田記念工学振興財団 研究助成金「東日本大震災における津波被災住宅改築のためのフェントン反応を用いた新規防カビ・防虫技術の開発」
  • 厚生労働省 科学研究費補助金「妊娠・授乳期における医療用医薬品の使用上の注意の在り方に関する研究」
  • 独立行政法人日本学術振興会 科学研究費補助金「リスクに対する頑健性と柔軟性を備えた環境調和型サプライチェーン設計手法の開発」
  • 独立行政法人日本学術振興会 科学研究費補助金「亜鉛等重金属の存在形態を考慮した生態リスク評価手法の開発と適用に関する研究」
  • 独立行政法人日本学術振興会 科学研究費補助金「天然鉱山と都市鉱山の利用可能性に関する統合的評価手法の開発」
  • 独立行政法人日本学術振興会 科学研究費補助金「リレーショナル化学災害データベース」
  • 独立行政法人日本学術振興会 科学研究費補助金「金属特異性を考慮した包括的な生態リスク評価手法の開発」
  • 文部科学省 科学研究費補助金「太陽電池産業におけるグローバルサプライチェーンの最適化に関する研究」
  • 独立行政法人日本学術振興会 科学研究費補助金「暑熱環境におけるエネ独立行政法人日本学術振興会費による人間健康の改善効果の評価に関する研究」
  • 独立行政法人日本学術振興会 科学研究費補助金「住宅のDampness による健康損失の評価と建築的防除に向けた因果構造の解明」
  • 独立行政法人日本学術振興会 科学研究費補助金「東南アジアにおけるバイオ燃料生産による温室効果ガス排出量の削減可能量」
  • 独立行政法人日本学術振興会 科学研究費補助金「熱力学解析とMFA の融合による都市鉱山からの金属資源の回収可能性評価手法の開発」
  • 独立行政法人日本学術振興会 科学研究費補助金「LCA に基づく金融商品の環境パフォーマンス定量化手法の開発と活用のための制度設計」
  • 東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA, Economic Research Institute for ASEAN and East Asia)受託研究費「東アジアにおけるバイオ燃料の指標および小規
  • 模・大規模バイオマス事業の持続性評価に関する研究」産 業 技 術 総 合 研 究 所(101)
  • 社団法人日本化学工業協会 受託研究費「事業者の自主的リスク評価・管理を支援する環境リスク評価ツールの開発」
  • 学校法人東京理科大学 受託研究費「微燃性冷媒の燃焼爆発影響評価」(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 受託研究費「高効率ノンフロン型空調機器技術の開発」に係る再委託)
  • 総務省消防庁 受託研究費「地震等災害時に救助活動を支援する障害物除去システムの開発」
  • 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 共同研究費「低毒化ガスジェット装置用推進薬の安全性確認に関する研究」
  • 独立行政法人科学技術振興機構 共同研究費「東日本大震災被災地域の中長期低炭素エネルギー供給システムの検討」
  • 社団法人全国火薬類保安協会 共同研究費「爆発影響低減化の技術基準の作成に関する研究」

発 表:誌上発表113件、口頭発表208件、その他41件