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平成24年度 新規技術体系のリスク評価・管理手法 の研究

 

今後新規に開発される先端科学技術に応用可能な安全管理体系の構築を目指し、その一つの適用事例として、ナノ材料のリスク評価及び管理手法の開発を行っている。ナノ材料は、その新規な物理化学特性のため、様々な科学技術分野における技術革新をもたらすものと期待されている一方、ナノスケールのサイズに由来する新規のリスクをもたらすという懸念もある。平成24年度は、以下の3つのテーマを実施した。

① 効率的な有害性評価のための手法

開発ナノ材料は極めて多様なものが存在し、また、今後も開発・市場化されると考えられることから、効率的な有害性評価の枠組みが必要とされている。そのために、産総研内の他ユニット、外部の大学や研究機関と連携して、下記の2つを柱とする研究プロジェクトを開始した;1)有害性の観点から同等と見なせるナノ材料をグループ化するための考え方(同等性判断基準)を構築すること、2)気管内投与試験を、呼吸器系への有害性に対するスクリーニング試験として確立すること。その中で、安全科学研究部門は、ナノ材料の体内動態と影響に関する数理モデルの開発を行う。平成24年度は、複数の二酸化チタンナノ材料について、静脈注射後と気管内投与後の体内動態を、臓器中のチタン分析により明らかにした。代表的なナノ材料の分析データについては、気管内投与後の肺からのクリアランスを解析するとともに、静脈注射後の主要臓器間の分配に関する試行的な数理モデルを構築した。また、肺組織の局所での二酸化チタン粒子の分布を、蛍光X 線分析を用いて定量化する手法を検討した。

② 事業者による簡易自主安全管理技術の開発

事業者自らが安全性評価を実施することを可能とするため、ナノ材料製品のカーボンナノチューブ(CNT)等について、培養細胞試験による簡易な有害性評価技術、及び、模擬排出試験や簡易な暴露評価手法からなる簡便な作業環境暴露評価手法を要素技術として開発を進めている。平成24年度は、CNT の有害性評価軸としての適切な物性パラメータと生体エンドポイントの絞り込みを行い、手順書の初版を作成した。また、動物試験を実施し、細胞試験の妥当性評価を行った。作業環境での測定について、詳細方法と簡易方法との比較結果等に基づき、作業環境におけるCNT 計測方法の手引書を作成した。CNT 複合材料の加工や摩耗時の飛散粒子の評価として、CNT の分散性や種類、加熱劣化の影響などの評価を進めた。NanoSafety ウェブサイトにおいて、重要な法規制動向について8件の記事を発信し、250件以上の速報を流した。

③ 長繊維カーボンナノチューブの有害性評価

繊維の長いカーボンナノチューブの有害性を確認する目的で、ナノシステム研究部門、ナノチューブ応用研究センター、計測フロンティア研究部門と連携し、生体毒性が低い界面活性剤を使用して長繊維状態を保存した分散液を作成し、気管内投与試験によるラットに対する有害性評価を実施した。長期観察試験の途中にある。